2020年8月17日(月)

日没後の暗くなっていく空を見ていた。南には背の高い入道雲が残照を受けて青白く映え、その下のほうでは雷が瞬いて、雲のなかやその後方を音もなく照らすのだった。西の空高く、赤く輝いて目立つアルクトゥールスを皮切りに、星がちらほら出てきていた。青や緑から黒へとゆっくり減光していく空は、普段のように気にも留めないような雲量の多さではあったけれど、その隙間から覗く深い色彩に一日の終わりを感じて気持ちが安らいだ。買い物の帰りだったから、見通しのよい田んぼの真ん中へ原付を止めて、虫の声のほかは静かな日没をしばらくのあいだ眺めていた。この眺めを目にすることができたし今夏は上がり、みたいな考えが頭をちらっと横切った。

夕空のへりは暖かい季節に見られる赤く滲んだものではなくて、秋冬特有の眠たいような緑と水色をしていた。田んぼの中を行く路上には飛び交う虫たちが増え、いかにも実りの季節を待ちわびているようだった。みぞおちに入ってきたのはそれらを捕らえるコウモリだったんだろうか。季節がゆっくりと、確実に巡っていくことを、肌で感じる。

ニュー・シネマ・パラダイスを観た。よかった。子供のトトに対して同じ目の高さで向き合うアルフレードの誠実さを思う。

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