2020年10月28日(水)

『最強のふたり』を観た。ふたりの絆は今も続いている、とエンドロールの手前で言われると、特に実話を求めていなくともこちらの感情はほだされるものだね。障害を負った裕福な男性と、彼を介助するスラム出身の男性が交流する物語なのだけれど、「金はかかるけど私はリッチな障害者だからね」というせりふが、とにかくつよい。最初からそういう話と言えばそうで、こちらとしては「お金があるっていいねえ」みたいに思う。未明に幻想痛(幻肢痛?)の発作のあと河畔に連れ出されたフィリップが、「空気が気持ちいい」という言葉を皮切りにドリスと会話していく場面が、なんの変哲もないように見えるけれどしっとりとして人心地がついており、自然でよかった。まあ大麻を吸わされて饒舌になっていたというのもあるんだけれど。いまそのシーンを見直して気付いたことなのだけれど、フィリップが暗いなか幻肢痛で喘ぐとき、ドリスの後釜のおっさんは別室のベッドで寝ていたのに対して、ドリスはフィリップのベッドの横にいて椅子で寝ていた。ああ、そういうところもきちんと描写されていたんだなー……。フィリップの誕生日にふたりがお気に入りの音楽を披露し合う場面や、そうしてみなが踊ったあとでひとり寝しなに入るフィリップの真顔なんかが、よい対比になっていて好きだ。友達から、この映画が好きならこちらもよいよと『グリーンブック』という作品をおすすめしてもらった。『最強のふたり』は裕福な白人にスラム出身の黒人という配役だったけれど、グリーンブックはそれが逆転したような構図になっているそう。次に観る映画はたぶんこれ。ここなん日かでBOOTHにて購入し、すでに手元へ届いたアルバムは三つ。Recezza. (CD) は二胡+ジャズ。いいもの見つけ出したと思う。『Bird’s-eye Viewing』の、鮮明な風景の中を移動していく感じが好き。Iris Tears はデモムービーからの連想が入るけれど、夕方の散歩のようなアルバムに感じられた。ゆったりのんびりしていて、日中の日差しのぬくもりが辺りにたっぷり残っているような時間帯かなあと思う。pf_es はしんとして冷え込むような静けさ。各曲の題名を辿るとどうやら、秋ごろから大晦日を越えて春の夜へと時が経過してる。紙のジャケットもおしゃれ。今回たまたまBOOTHを漁ったらM3という音楽イベントに重なっていたらしく、浮上してきた美味しい作品に触れることができた。あと一枚も近く届く見込み。

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