2010年12月10日(金)

以前の日記で「温泉に浸かりたい」と書いたが、今日はその温泉へ行ってきた。大田原市黒羽の町営温泉、五峰の湯だ。

国道294号線沿いに「くらしの館」という観光施設がある。そこの十字路をローソン側に折れ道なりに行くと、三つ目の交差点辺りに小豆色した「五峰の湯」というのぼりがいくつも立っている。のぼりの連なる右手へぐるっと曲がり行った先がそこだ。市営バスも出ているらしい。JR西那須野駅東口から乗る市営バスの終点が五峰の湯、とのこと。温泉スタンドというのもあり、五峰の湯駐車場脇のスタンドで10リットル10円で販売されている。僕が来た時も帰る時も、それぞれ違う軽トラックがお湯を積んでいる最中だった。

入浴料というか施設の利用料金は大人ひとり五百円。ちょっと高い気もするが、施設全体の利用料だと思えばいい。レストランや農産物の直売所も施設の一部であり、他に大広間二つとその間に自販機やマッサージ器などの置かれた休憩所がある。

まあなんだかんだ言いつつ男場に入った。更衣室は割合の清潔感でドライヤーが置いてあった。写真を撮れなかったのが惜しまれる。コインロッカーで着替えて浴場へ。

まずはお湯をかぶって体を洗い、大浴場へそろそろと入る。このお湯、ぬるっとして粘性を帯びている気がする。pHが高いのでこう感じるらしい。パンフレットには「肌触りが非常に滑らかで皮膚に良いことから、『美人の湯』と呼ばれ大変好評です」とあった。熱さも適当で良い感じだ。ちなみにパンフには「男湯と女湯は一週間のローテーションで入れ替わります」とある。今回、ジャグジーがあるのは女湯の方だったらしい。些細なことではあるが。

洗ってさっぱりした頭の中で樋口了一の「1/6の夢旅人 2005ver」を口ずさみながら、のんびり湯に浸かった。温泉の宿命なのか田舎の早朝だからなのか知らないが、大浴場にいる人たちは10人強、大体60~70代のじいさんばかりのようだ。見れば裸で大浴場の外へガラス戸を通って出て行く人がいる。露天風呂というのはあれのことらしい。急ぐ必要もないからボケッとガラスの向こうの空を眺めていた。

んで、那須連峰を臨みつつ風に当たりつつ湯に浸かるのも良いかなと考え始め、だんだん上せてきたところで湯を上がった。前を隠さない男気溢るるおっさんもいるが、僕には真似出来ない。あまりしたくもないのが正直なところだ。とりあえずぺたぺたと露天風呂の方へ歩いて行った。

二重のガラス戸を開けて出たところで、隣のやはり露天風呂からわしわし響く声が聞こえた。おばさん連中がお喋りに花を咲かせているらしい。こちらも壁一枚隔てた露天風呂に入って浸かった。表の空気と風がぴりっとして気持ちよい。この風は那須の茶臼岳から吹いてきたものであろう、と勝手に決めつけた。植え込みのために男湯の方からは山が見づらいのだ。そのうち風呂の縁、木枠の角へ移動して、腕を広げて乗っける形でくつろいだ。相変わらずだみ声が届く。幸せな人はそれに気付かないからいけないだとか、うちの亭主の遺言がとか、日本人は金かねカネだ、とか。かわってこちらの露天風呂は静かである。男同士の静かなる連帯感である。

おばさん連中の幸福と人生論をぼんやり聞くうち頃合いを見計らって、連れのじいさんへ先に上がるよ、と言い残して出て行く中学生かそこらの子に続いて湯を出た。もう一度シャワーを浴びて体を拭き、更衣室へ。服を着替えてドライヤーを借りる。先月髪を切った折に縮毛矯正を掛けた髪なのですぐ乾いた。どうでもいいことではあるが、僕の地毛は猫っ毛で癖毛なのだ。ぼさぼさ。だから普段の風呂上がりは髪全体がうねって毛先も跳ねる。面倒くさいのでひと月とちょっと前、担当の美容師さんにストレートにして貰った。この美容師さんからは健全な肉体の維持の仕方を教わり、現在実行している最中である。じきまた散髪しに行くから少し驚いて貰えるだろう。

男湯の暖簾を再びくぐり、休憩所でドクターペッパーを買った。この癖の塊のような味がたまらなく好きなのだが、その辺の自販機ではあまり置いていない。飲みながら大広間の空いているテーブルへ移動した。見ると通路の突き当たりの奥の方にレストランがある。ちょうど昼時だし、ということで、飲み終わってからそちらへ赴いた。

山菜そばレストランは小さくて空いている席も一つだけだった。掻き込み時と言うことでおかみさんも忙しなく動き回っている。メニューを見ると、鮎の定食は4~10月までとなっていた。海鮮丼などはお高い。チタケそば・うどんというのは美味しそうだが旬のみの販売となっていてこれも高い。結局、山菜そばを頼むことに。待っているうちにおばさんの二人連れが空いた席を探していたので正面を譲った。

程なくしてそばが運ばれてきた。お先にと言って啜る。問題なく美味い。ちびコウを取り出して写真にぱちり。

腹八分目ほどに満たされたので席を離れてお会計へ。650円。ごちそうさまと言うと「どうも~」と返ってきた。先ほどの大広間のテーブルに戻り、その辺のおっさんたちの真似をするように横になってMP3プレーヤーを掛ける。こういうのはのんびり出来て良い。

ランキング壁に張ってあるポスターや広告、雑誌の切り抜きを眺めているうちに面白いものを見つけた。栃木県内の温泉施設の充実度、接待の様子、泉質をそれぞれ数値化して並べたもので、ここ五峰の湯の充実度は県内6位とある。誰が投票してるんだろうと思いながらこれも写真に撮った。

お金を払ったとはいえ、いつまでもだらだらしている訳にもいかない。そろそろ行くかと受付を出て駐車場へ降りていった。

民家 かご帰り際に「くらしの館」へ立ち寄った。今は季節を外しているがこの近くには黒羽の観光やなもあり、そこそこ賑やかなところである。くらしの館そのものはわらぶき屋根の民家を改装して無料で開放しているもので、その隣にふるさと物産センターという直売所がある。ここは朝九時から夕方六時まで営業していて、第二第四木曜日が定休日。一通り家の中を見て回って、千歯扱きやら何やらの昔の農具も見学してから帰途についた。うむ、今度また温泉に行きたい。

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