地域名物なたい焼き屋さんが今年も営業を始めていた。隣接する城趾で風景を見ながら食べるのもいいなと思い、病院の帰りに立ち寄った。並んだ列の前のお客と店員さんの会話からすると、ここは今月一日に開店していたらしい。車を止めて買いに来る人たちで店の周りはわりあい忙しなく、まとまった数を買っていく人もちらほら。香ばしくまだかりかりしているたい焼きを紙袋に二尾入れてもらい、小高い土塁の上のベンチへ移動して、ひとりでもしゃもしゃやっていた。桜のほかの木々もすっかり葉を落としたころなら、街の景色はもっと見晴らしよく眺められるんだろう。桜が咲く季節のこの場所のことを思い出しながら、風景に記憶が宿っていくことを思う。今朝は十度台まで冷えた。タイミングよく用意した毛布のおかげか、昨晩の眠りはいつになく深かった気がする。
2020年10月15日(木)
眠たい。毛布とストーブを出して布団カバーなどまとめて洗った。19年3月に祖父と菌駒を打った椎のほだ木からまた椎茸が生えていた。成長しきったでかいのが五つ収穫され、ただいま干しているところ。こうしたものは思い出込みの収穫物だ。きっと、郊外に住まう人種は多かれ少なかれ、こんなふうにして他者の思いを継承しながら作物を世話しているんだろう。そして、椎やら桜やらの丸太を手に入れること自体が稀少な体験なんだと、ひしひしと感じている。きょうは北海道や青森で今年初の積雪があったそう。このあたりの明朝の最低気温は8度という予報が出てる。きょう道の駅へふらっと立ち寄ったら、地元産丹波の黒豆が並んでいた。おおお、おお……。これは去年たまたま食べる機会があり、その濃厚なうまみと甘さは一年経っても鮮明に思い出せるくらいに感動したのだった。食い気味で購入し、夕餉に塩ゆでの枝豆とした。うめい。ところでNHKR1の早朝のジングルは目覚まし時計のアラームを聞いている感じがして、おっ朝がきたいい感じだね/無理に起こさないでくれえという、相反する気持ちを抱く。
2020年10月14日(水)
ずいぶん眠ってしまう。きのうカメムシが窓に群がり始めたのを見て、やっと忌避剤をサッシへ吹いたのだった。それなりに掻い潜って屋内へ入ってくるけれど、気休めにはなるはず。もうそろそろ最低気温が十度を割ってくる気候なので、このあたりで毛布を洗ったりざっと用意をしておけたらいいな。カメラが逆です:写真の部屋|ワタナベアニ|note このCが写るということは、被写体との関係性や思い入れが写るってことだろうか。だとすると、肝心なのは相手や場とのあいだに関係を築くことで、撮るという行為はほんのおまけに過ぎないのかも知れない。素人の何気ない写真がよいという意見は、そうしたことを裏付けるように思う。
2020年10月13日(火)
「~とは思う」のとはが、なにかに対する留保とは思えない。でも、と思うに挿入されたあの「は」は市民権を得てるよなー。文章的にスマートではないと思うから、僕は使わないけれど。いま気が立っているかもしれない。リングフィットをやっていたら胃の内容物がこみ上げてきた。横になろう。
2020年10月12日(月)
外気が20度近くあって過ごしやすい夜。いくらでも眠れてしまう。このだるさは不調ではないようだけれど、布団へ行くべし。
2020年10月11日(日)
青果売り場の果物のバリエーションが減ってきた。桃の季節の芳醇な香りはまた来年かー。読みたい本を古本で取り寄せていたら、文庫の本棚を一段、積ん読で埋めてしまった。こういうのは好奇心の貯金だと思うから自分への申し訳は立つものの、一方でものを活用せずに蒐集することを僕は少し軽んじてもいるので、げんなりしはじめる前に読んで場所を空けていこうな。
2020年10月10日(土)
台風は勢力を落としながらの迷走気味。雨はもうそろそろ止むんじゃないかな。なにを書こうとしていたのか忘れた。早めに布団へ行こう。
2020年10月9日(金)
どこかで打ち上げ花火を上げる音がする。もうそろそろストーブを出す頃合いかも。
2020年10月8日(木)
シャコバサボテンの葉摘みをした。この春に植え替えをしてから、株はそれなりに貫禄が出るような葉の展開をしていたものの、花芽の付かない若い芽をもぎ取ったあとでは少しさみしい姿をしていた。これから2週間ほど水をやらずにおけば花芽が出てくるはず。吉田篤弘氏の著作一覧をWikipediaで確認したら、知らないあいだに知らない作品がずらりと並んでいる……。2015~2016年刊行の『ソラシド』や『レインコートを着た犬』『おるもすと』あたりが僕の履歴のしんがり。この方の作風は完全に都市生活者のそれだったので、一時期ずいぶんハマりはしたけれど、僕は土の気配を求めてほかの作者へ軸足を移したのだった。ここの雑記を椎名誠で検索すると、おおよそ五年前からそれらしい結果がヒットする。ただ、こちらの人は土というより火と風な感じ。
2020年10月7日(水)
台風接近の影響で、あすは日がな寒く雨らしい。『スクールオブロック』を観た。平日夜のJFN系列に同名のラジオ番組があり、おそらくこの映画からのネーミングなんだろうなーと思って気になっていた。ロックが命のおっさんが教師になりすまして自分の生きがいを生徒に布教するという、夢のようではあるけれどなにやってんだよという物語。熱くて破天荒でノリがよく、そしてこれが大切なことなのだけれど、ロックに目覚めていくみんなをおっさんことデューイは丁寧に細やかに肯定する。その動機が舞台で音楽をやりたい欲から来るものだとしても、生徒たちは彼に音楽の才能を掘り起こされ、一丸となってデビューへ向かっていく。冒頭に挙げたラジオの番組名は、この映画のそうした前向きで熱血な精神から名付けられたのではないだろうか。テンポよく進むので一気にがーっと視聴してしまった。観てよかった。
