2020年5月1日(金)

金の光を受ける夕暮れの風景の中に、ぬるくて甘い遅い春の気配が流れていた。

五月到来。あんなにもったいない扱いしていた四月は風みたいに過ぎていった。あしたの気温は30度近くなる予報で、気候はもう遠慮せずに初夏へ向かうつもりらしい。ソメイヨシノが咲いた三月末から山桜が散る今日まで、息を吹き返したような心地よさを感じていたことは覚えているものの、なにをしていたかほとんど忘れた。もの愁い花の季節をもっと味わっていたかったのだけれど。

きょう業者さんが来て、育ちすぎた庭木を一日で全て倒し、ユンボやトラックで回収していった。アフリカの灌木みたいに「手を出したら命はないからね」と主張していた柚子もなくなった。こちらはもっか枝を水に挿し発根待ち。こういうご時世に手早く作業して下さった業者さんがほんとありがたい。そして庭ががらがらだよ。かつて日陰だった場所にはスギゴケがふかふかの森を形作っていて、それらを撫でるときの手触りが好きだった。日差しががんがん当たるようになったから、デリケートなスギゴケはたちまち干涸らびていくはず。周囲の湿度や風通しが変わるだけでもいたりいなくなったりする植物だものね。あとで少しばかり移植できないかな……。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です