原付で道を走っていると乾いた麦の香りがする。夕刻より僅かに雨。大気は熱と湿度をはらんで立ちこめており、夏の夕立のような肌触りをしていた。
昨日ここで年長者にどうのと書いたけれど、幾年か前の僕は生きることの根っこに苦痛を感じていた気がする。それで、自分よりも長い苦痛を乗り越えて生存しているひとに対し敬意を払う、みたいなやや偏った考えを持っていたような。いまではそういうことをわざわざ思考に挟んだりはしないなー。それに、書き残さないと忘れるような頭をしているため、かつて考えていたことはおおむねよく覚えていない。
先日立ち寄ったホームセンターでは球根ベゴニアの苗を見つけた。彼らの茎や葉の、水気を含んでぼってりした様子はとてもいいね。花は特に好みというわけでもないのだけれど、葉に入ったコリウスのような模様を見ていて、観葉植物として楽しむのもありだと思った。たぶん僕の見た球根ベゴニアは特に育てやすい品種なんだろう。この植物は触ると溶けるくらいに栽培が難しいと聞いており、個人的にブドウや薔薇や蘭といった、上級園芸家が愛すると思われるカテゴリーに入れている。うちには普通のベゴニアがいることだし、こういうデリケートなものよりも、丈夫さに定評があり慎ましやかなシュウカイドウが欲しいところ。