種から蒔いて育てた菜園のディルを、いもむしが棒にしていた。二本とも。おいしそうなセリ科だから、オルトランの効果が切れてきたら食害に遭うことは分かっていたし、こういうのって半分は生きものへの奉仕とか慈善みたいなものだとも思う。それはそれとして、ひとがヨーグルトへ入れたくて楽しみにしていたディルを食い散らかしたつけは、美しくなるだろうその身体を見せることで支払って欲しいけれども。大きくなりすぎて倒れた隣のフェンネルにもいもむしはついていた。そのフェンネルが咲かせる細かく黄色い花と、庭のクレマチスの白い花を摘んできて、綺麗だからととっておいたびんへ活けた。そんなのや石油ランプの明かりや夜空を相手に晩ごはんをもしゃもしゃしていると、それなりにくつろいだ時間を過ごせるんだよね。そしてさっき夜の散歩をして戻ってきたら、びんに活けたその花たちが綺麗というか、花というものが身近に迫ってくる感じがしたのだった。地植えや鉢植えの植物ばかり相手にしているけれど、自分の生活圏内へひととき連れてくるという方法は、また違う角度から花を眺めることなのだな……。頭痛を感じるから眠る。