2021年6月10日(木)

那須のガーデンへ。今年の春は季節の巡りが早かったこともあり、このタイミングだと園内のばらはもう枯れ始まっているのでは、なんて思いながら訪問した。思いのほか花盛りらしく、萎れ始めた花々は確かに目についたものの、庭の中はまだまだ見どころに溢れていた。仮に時期を外しても、萎れて枯れた花にだって美しさはあるわけだしね。それはそうとして、ここの最盛期が見たいなら五月末に来るべきなんだと痛感した。一時間ばかり園内を撮って歩き、日射とマスクでふらふらになりながらガーデンを出た。本屋に立ち寄ってハヤカワ文庫の華氏451度を購入。それから、別荘地としてざっくり区画分けされたある一帯の頼りない道を、原付でのたのたと通り抜けた。一帯が下草の少ないコナラ林ぽいのをGoogle Earth ProやGoogleマップで見つけたため、その確認。道は荒れていたけれど曲がりなりにも舗装されており、おかげで両側に広がる林内も見通しが利いた。いい感じだ。いずれここへきのこ探しに来るつもり。そして山野草の店をちらっと覗いてから帰途。初夏の避暑地は人口密度や車の往来がまんべんなく多いように思った。気分はいぜん低め安定で、なかなか標準的なラインまで戻ってこない。

2021年6月9日(水)

届いたヤマケイポケットガイドのめぼしい樹木に付箋を貼った。それ今さらなのというレベルのことだけれど、読むうちに判明して嬉しかったことがある。きのこ図鑑は林の構成によって分類されていることが多く、たとえばブナ・ミズナラ林のきのこやシイ・カシ林のきのこというように、きのこは樹木によって発生する種類を大別できるようになっている。そのあたりのおもな木を届いた樹木図鑑とあわせて分類すると、

  • 落葉広葉樹林(雑木林)
    • ブナ、ミズナラ(山地)
    • コナラ、クヌギ(里山)
  • 常緑広葉樹林(照葉樹林)
    • シイ、カシ(暖地・鎮守の杜など)

こんな感じ。このまとめから、どのきのこがどんな林に生えるかをざっくばらんに区別できるようになったこと、数が多くなにも分からなかったコナラ属も落葉/常緑によって(きのこ採りのために)大別できること、その林の成り立ちや利用のされ方、分布もなんとなく推測できそうなこと、なんかが分かるように思う。たどたどしい知識だという自覚はあるけれど、こうして分類したら、分かるものが一気に広がった感覚があったのだった。冬のころ手を付けた世界史もそうだったけれど、知らないままにしてきたジャンルの骨格をざっくり仕入れたときというのは、見えなかったものが急に鮮やかになる気持ちよさがあるなあ。自分が見分けられそうなタマゴタケとチタケの発生場所は上の分類にまたがるため、そのへんの解像が上がったことは、実益に結びつきそうでうれしい。とりあえず、里山の雑木林とそこに生えるきのこを覚えるつもり。……きのこ採りに詳しい人はいないかと祖父に訊いたことを思い出す。関心を持ち続けたことは、自ずとこんなふうに覚えていけるのかもしれない。寝しなにかじり読みしているムーミン谷の夏まつりは、夏至が過ぎたころに読み終えるつもり。たのしいムーミン一家も作中の季節にあわせて八月末まで引っ張る。夏の章のムーミンは光に透明感があって美しい。

2021年6月8日(火)

くちなしの花が咲き始め、茉莉花にもつぼみが付いた。机に置いたくちなしのとろけるような香りにうっとりしてしまう。香りを求める植物に対しては控えめな花が好みだったから、八重が多く流通しているなか一重の株にこだわって入手できて、よかった。乳白色にほのかな透明感を持った星形の花が綺麗だ。取り寄せた株は枝がひょろ長く、室内飼いだと場所を取る。来年の花芽が付くか自信はないけれど、花があらかた散った時点で強剪定して姿を整えるつもり。スマホはしばし修理へ。調子はいぜん低空飛行。地元というか散歩の範囲内に、下草もなく感じよい落葉樹林があるのに気がついた。かぶと虫が集まりそうなどんぐり系の木だ。ああした林床にはなんらかのきのこが生えるのではないだろうか。たとえばタマゴタケとかチタケとか……。ということで山と渓谷社の『新ヤマケイポケットガイド 野山の樹木』をポチった。同シリーズは「山菜・木の実」「きのこ」「薬草」が本棚に並んでおり、持ち運ぶにも現地でも実用的なため、気に入っている。この出版社の本すきだ。身近な山林の樹種が分かればそこに現れる生きものも推測がつくだろうし、というか野歩き山歩きをするなら、そのへんの主な木を見分けられることは基本だろな。Google Earth Proで自宅付近の植生図を眺めるうち、普段通りすがる小さな林がコナラ林らしいことに気がついた。こちらもときどき訪れてみる価値があるかもしれない。

2021年6月7日(月)

この疫病禍のおり、半導体製品やHDDといったパソコン部品が高騰したり品薄になっているということを、オンライン記事やTwitterの呟きでちらほら目にする。動揺が広がり始めた去年の二月ごろに、メモリが価格上昇し始めたというので思い切って自作PCのためのパーツをかき集めたことは、結果的に金銭面で助けられたのだろな。日がな蒸し暑い日。直射日光も強く、室外機の上のセルバチコは小さなプランターが日差しで煮えたために萎れ、いまになりやっと持ち直した。充電のできなくなったスマホはあすメーカーへ修理に出す予定。調子はまだ戻ってこない。

2021年6月6日(日)

母の皇帝ダリアを軒下へ植え付ける作業をして午後を過ごす。つかれた。ごみを回収場所へ出してきた帰りに、ほたるが飛ぶ近場の水路へ立ち寄った。読みは少し早かったようで光は見当たらなかった。このあたりもほたるの飛ぶ数は年々減ってきているけれど、出現していれば淡い黄緑色がふわふわ動く様子は気がつくはずだから、時期を変えれば出会えるかもしれない。もうとっくに夜の散歩が気持ちよい季節だ。鉢で養生していたいちじくのビオレソリエスは、葉の一部が茶色になって特有のいちじく香を放つようになった。ざっと検索をかけてみたところ、原因としては加湿、つまり週末の雨が鉢へ注がれすぎた、ということかもと思い当たった。幹へ虫が入ったようには見えないから、水に注意して少し様子見する。そのいちじくの葉裏にかげろうの卵らしきものを見つけた。うどんげだ。ほのかに感動してしまい、デジイチを持ってきて撮った。気が向いたときに写真を書き出そう。

2021年6月5日(土)

なにもない日。母が一回目のワクチン接種を受けた。特に変わったところはないらしい。三週間後にもう一回受けるまで油断ならないにしても、疫病に対する家族の安全度が増したことに、ほっとしてる。人体の免疫系はすごいな……。あらかじめ敵(ウイルス)の情報を手に入れて学習することができれば、生身では為す術のない天然痘や麻疹を撃退できるんだもの。その潜在的な防御力に驚く一方で、こうした機構に目を付けてうまいこと予習教材を与える知恵を編み出した人類にもびびる。治療でなく予防してしまう強さだ。僕にも早いとこ接種の順番が回ってくるとよいな。取り寄せた一重のくちなしには初めアブラムシがついており、鉢へ植え付ける際にオルトランを与えたのだった。その鉢を金曜の雨の中へ出しておいたおかげで、死んだアブラムシはおおかた洗い流され、蕾にはつやが見えるようになった。こうした被害に対しては、手作業であれば割に合わない労力が発生するところだと思う。それはそれとして、不必要な殺生をすると心が痛むようになったのは、歳のせいなんだろうか。むかしはロケット花火にかえるをくくりつけて打ち上げるような子供だっただけに、どういう変化なんだろうと思う。少し前、庭のあけびの葉にアシナガバチの女王が巣作りを始めたのを見つけた。人が行き来する付近だったから危ないと思い、車に使う洗剤かなにかのスプレーをかけて殺したのだけれど、女王バチが地面に落ちてもがくのを見て、こんなことしたくないなあと辛かった。野生生物とこちらの人間とで利害が対立したときは、申し訳ないけれどこっちの利益を優先するよ、というのが現時点までの自分の方針。そこにここ数年で、できるだけ相手を尊重できないかという観点が入ってきたことは、いたわりなのか、後ろめたさの回避なのか、よくわからない。

2021年6月3日(木)

雨が降る前に、母が産直で買ってきた苗をふたりで花壇へ植え付けた。大叔父の代わりにワクチンの予約を取った。気分が低調なとき、自分の欠点へ目がいくのはげんなりするな……。これまで鼻持ちならなかったように思われる。思い当たったこと自体は運のよさなのかもしれないから、無駄にせず修正していこう。雑草を撮ってその名前を図鑑で調べていると通院先の先生に話したところ、それはとても贅沢なことなんですよ、と言われた。心がズキズキするくらいその通りだね。

2021年6月2日(水)

依然低調。雑草図鑑を読み込んで道ばたの植物を撮り、それをバイオームへ登録していた。その図鑑の掲載数が300種。手に入れた当初の印象は「こんなに充実していたら使いこなせるだろうか」というものだった。バイオームの現在の登録数(種子植物)が130くらいで、少し頑張れば自分にも300という数は達成できそうに思う。というか、名は知らなくても普段ほかのものから区別して認識している植物というのは、多いんだな。金曜は強い雨が降る予報。きょうだいは独自にかなりやられており、副作用の強い処方が出されているとのことだった。

2021年6月1日(火)

水を掛けてしまったキーボードが入力エラーを起こすため、きょうの雑記はここまで。『アマゾン河の博物学者』に手を付けた。二段組みで500ページある。手強い。他の本と同時並行するとして、一日5ページ読み進めれば、夏が終わるまでに読み終えるはず。