2021年7月25日(日)

宵のころ、燃えるごみをステーションへ出してから近所を一周してきた。日曜夜の家々からは緩んだ独特の雰囲気が伝わってくる。家族同士の会話や水道管から響く流れなんかが、オレンジ色の明かりと一緒に道へ漏れ出していた。ウマオイが鳴くすいっちょんという声をはじめ、そこかしこからいろんな虫の声が聞こえる。路上を照らすとナナフシやカマドウマが歩いていたり、木の上のほうには青いあけびや小さな栗のいがが生っているのを見かけた。戻り道、ぼんやりと、でも濃いオレンジ色をした月が、空の低いところに浮かんでいるのが見えた。よい晩。夏の夜のまろやかな大気が肌に柔らかく触れて気持ちよかった。

2021年7月24日(土)

録音関連の配線はできた。オリンピック開会式の映像くらいは見てみようか、という気がしはじめた。それはそのうち。悲しみをどうにかしようと思って書き出すうちにそれはわりあい紛れてしまった。単純なのはよいことだよ……。さだまさしの『君は歌うことができる』という歌に「君は君の言葉で祈ることができる 目の前の痛みから逃れるために他人(ひと)を傷つけ 己を傷つけてしまうそんな人のためにも」という歌詞があるのだけれど、そこを思い出していた。自分は人を傷つけてばかりいるだろうなと思う。

2021年7月23日(金)

デスクトップの環境で録音できずに困っていた、のをやっと解決。3.5mmジャックには3極や4極などがあり、4極にはさらに規格が2つあり、入出力の方向も含めて適切なケーブルで経路を用意する必要があったのだった。スマホへつなぐならおおむね4極で問題ないのだけれど、パソコンだとリア/フロントどちらも3極。そこへ挿したマイク付きイヤホンやピンマイクが4極だったために、入力レベルは極小になっていた。それは付属の変換コネクタでいちおう解決できた。ただ、すっきりした接続のほうがあとあと助けられるだろうと思い、4極メスを3極オス2本(マイク/イヤホン)へ分岐させるケーブルをポチった。これなら経路を潰さないから手元のマイク付きイヤホンも使えるはず。録音環境を用意するのはややこしいと思ったので忘れないようメモ。自分の辛さや悲しい気分を眺めるうちにほとんどそれに溺れるような状態になることがあって、この春以降は頻繁にそれに陥っている。影響は体調にまで出たし。常に俯瞰ができればよいのだけれど、世界そのものがゆがんでいるときっていうのは、主観ではそのゆがみに気付きにくいものだよねえ。時空がゆがんでいても光そのものはゆがみに沿って直進するような感じ。気分を見つめすぎだと気付けたら、その時点ではっきり拒絶しなきゃね。負の感情にも気持ちよいところはあるから、切り替えには少し手間取るけれど。気分の増幅っていうのは通常は、日常生活を送るうえで役に立つように機能しているものなんだろうと思う。

2021年7月22日(木)

久しぶりに口笛を吹いたら気持ちよくて長いこと続けてしまった。全くの手癖だけで吹いているけれど、練習したらいまより上達するのではと思い、検索結果に出てきたくちぶえ音楽院の記事を読んでいるところ。口笛を録音→聞いて改善を重ねるのがよさそうだ。午前中はワクチンを接種した肩の筋肉が痛んだものの、いまはそれもほとんど消えた。世の中の雰囲気はここへきておかしくなりはじめたから、せめて自分まで消耗しないよう、オリンピック関連の情報は摂るにしても絞りたい。

2021年7月21日(水)

一回目のワクチン接種を受けた。ファイザー製。接種済みのラベルにはコミナティ筋注/最終有効年月日2021/09/30 とある。待合室や病院内に漂っていた雰囲気は、余計な手間はかけない/とらせないぞ、という一連のぱりっした緊張感だったように思う。なんでぱりっとなのと問えば、人々にのんびりした所作はなく、どちらかというと活気のある、はい次へ向かいますねという意欲のような姿勢が感じられたから。まったくの主観と感覚だけれど。筋注されたほうの肩はいまのところ、注意を向ければ若干の痛みやだるさがあるかな、という感じ。副反応が出るとすれば強いのは翌日だよということは母から聞いた。医師と看護師のきびきびした連携で左肩に接種されたあと、十五分間まっててね/次回の接種は三週間後という内容の紙を渡され、ポケットに入れていた文庫を通路で立ち読みして暇をつぶした。当たり前のように次回の予約を割り振ってもらえたことが意外だった。今回の接種を含め、それはまったくタイミングの妙でありがたいことだ。ただ、これで生活が変わるわけではないから、今後も感染対策に注意して生活するつもり。明後日からオリンピックというタイミングで都内の感染者数はぐっと増加しており、地元の広報メールでも感染例の報告は続けざまに入ってくるようになった。これから当面は厳しい状態が続くのだろな。多くの人が少しでも早く接種できることを願う。個人的にうれしかったこととして、うちのぬいぐるみの仔を数週間ぶりにぎゅーっと抱きしめたら、ここ一、二ヶ月ぐらぐら揺らいでいた心が「これはこれで大丈夫なんだろうか」というくらいに満たされてしまった。ひとは触れた相手に愛着を示しやすいという話を聞いたことがあるけれど、変な脳内麻薬が出るくらい絆を積んだ状態なんだと思う。もう君なしでは人生が立ちゆかなくなっているから、一生そばにいてほしい。それと、Wikipediaにお賽銭するときメールアドレスをこれと決めずに入力していたせいで、ジミー・ウェールズが続々とお願いにあがってくる。

2021年7月20日(火)

あしたは一回目のワクチン接種の予定があるため、さっきまで予診票に記入をしていた。診察前の体温というのは会場で測った数値を書くとのこと。うちの市のサイトにもワクチンは供給不足になるという旨が載っていた。自分の場合だと一回目はたぶん打てるのだろうけれど、二回目はどんなタイミングになるか、杞憂かもしれないことを含めてまだなにも分からない。それは接種会場で訊いてみる。直前に体調を崩すことがないよう早めに眠るがよい。

2021年7月19日(月)

病院を二軒はしご。始めに向かったところは診察と関係のない学歴や職歴を根掘り葉掘り聞いてくるのでげんなりした。説明に納得感もなかったことにがっかりした勢いで、事前に候補として挙げていたもうひとつの医院へ向かってしまった。そこではごく一般的な診察と必要十分な説明を受け、それからひと月分の処方を出してもらった。ふつうっていうのはふつうにあるものではないな……。たぶん心気症とのことで、そういうメタなのはそこまで言ってもらえると助かる。僕自身は納得がいかないと相手を変えるやつなのだなと、むかしドクターショッピングを繰り返した時期があることを思い出して、少し苦い。こうして書いていると、まだささくれた気分を引きずっているのがわかる。さっさと眠るがよい。

2021年7月18日(日)

菜園のスイートバジルをことし初めて収穫。新鮮な切れ目からはしばらくのあいだ、クローブの香りがした。物の本にはたしかにクローブ香と書いてあったけれど、ほんとなんだ……。昼前に、コンビニでちょっとした印刷をするついでに例の林へ向かった。『樹皮ハンドブック』を見ながらミズキらしいのを同定。林を抜けるあいだじゅう、群がってくるヤブ蚊に手の甲を刺され放題でいたから、立ち止まって一つの木を調べることができなかった。あそこへ行くなら虫除けが要る。依然、それなりにぐったりしている。

2021年7月16日(金)

通院先の先生から、処方を増やせば厄介な問題を付け足すことになるから、生活の中にあるストレスを解消できたらいいんだけれど、というようなことを言われた。ごもっともです。梅雨のあいだにさび病が蔓延したクレマチスたちはすっかり治り、わさわさと枝葉を伸ばしていた。サマー・スノーの花付きがよくなるのは、植え付けて数年経ち株が充実してから、と聞いてる。もう伸び放題といった感じの展開をしているけれど、花に関してはことしはそれほど期待していない。さび病に罹患した葉を取り除いたら丸坊主になったくらいやられた白花のクレマチスも、健全な葉が芽吹いて蔓を伸ばしはじめていた。これはあとで誘引してやろう。そして、いったん地上部を刈り込んだ祖母のH.F.ヤングに、ようやく蔓が見え始めていた。冬開けくらいに祖父宅から掘り起こしてうちへ持ってきた株で、クレマチスは移植を嫌うから根付かなくても仕方ないかもねという感じで様子を見ていたものの、そこからたくさん花を付けた。たぶん、強剪定した梅雨のあいだは地下を充実させていたんだろう。うちに根付いたことが分かって安心した。ひとまず、僕が精神的に不調でぐったりしているこの一ヶ月以上の期間に、クレマチスたちは元気を取り戻していい感じに育っていたことをきょう確認できて、よかった。ユンナンエンシスを早いとこ確保しなくちゃね……。