サキは明け方の四時半ごろに逝った。僕は夜通し付きっきりで彼女を看ていて、それが今こうして少しばかり慰めになっている。
夕暮れに家族皆で墓を掘り、埋葬して花など供えた。彼女を包むため、十年来の愛用で彼女自身もよく遊んだかばんの中へ入ってもらい、僕は記憶のよすがにと思ってヒゲを一本もらった。
今日はひどく暑くて晴れた日だった。食欲はそれなりにあるけれど、落ち込んでしまうな。悲しみはあとから効いてくるのに違いない。しばらく、ぱっとしない日々が続くはず。
サキは明け方の四時半ごろに逝った。僕は夜通し付きっきりで彼女を看ていて、それが今こうして少しばかり慰めになっている。
夕暮れに家族皆で墓を掘り、埋葬して花など供えた。彼女を包むため、十年来の愛用で彼女自身もよく遊んだかばんの中へ入ってもらい、僕は記憶のよすがにと思ってヒゲを一本もらった。
今日はひどく暑くて晴れた日だった。食欲はそれなりにあるけれど、落ち込んでしまうな。悲しみはあとから効いてくるのに違いない。しばらく、ぱっとしない日々が続くはず。
今日の夜明け時と夕暮れに、蜩が美しく鳴くのを聞いた。たぶん今年の初蜩。
六月の眠りは嗜好品なんて気取って、寝しなの読書と共にそれをちびちび味わっていたら、あっという間に七月が来てしまった。戻り梅雨はあるかも知れないけれど、梅雨明け発表もあったことだし、夏到来だね。さよなら麗しい月よ。七月は現実が幾つもの層を作っていて、それらを透かしてものごとを感じているかのようだ。毎年そう。
サキは今日から水も飲まなくなった。もう少し。
このところ自分の中で急に株を上げているScoobie Doの、『4×20』という結成二十周年記念のコンプリート・ベストCDを、いま聴いてる。CD3枚+DVD1枚とボリュームがある。当面はこれと同『何度も恋をする』を聴いているはず。
放っておくと一週間があっという間だなあ。今日、関東甲信で梅雨明けした。散歩もそれなりに続いてる。
サキは生存していて、いよいよ食事が喉を通ったり通らなかったり、黄疸なのか耳の内側が黄色みを帯びてきたりというところ。
散歩コースを延長して、歩きでの一時間強を確保した。身体の動きが熟れてくる三十分経過くらいからわけもなく走りたくなる。感情が昇華される感覚があって楽だ。
断片的に、いなくなってしまったひとの話をすることがある。曰く「~のおばちゃんにはいろんなことを教わらないまま、逝ってしまったねえ」というような。かぶと虫やきのこを採るといった山の歩き方なんかの、そういう土地っ子のフレーバーを継承できなくて、静かに残念に思う。それはどうしようもない。
祖母、叔父、猫と、今の周囲には死の陰が濃い。そのわりには自分が微妙に鈍感になっているというか、日常感が感覚の表層を覆っているというか。
数日前から、夕方に鳴く虫の声が切れ切れに耳へ届くようになった。にいにい蝉の初鳴きも聞いてる。
夏至。夕暮れに散歩する習慣を付けているところ。空が桃色と黄に染まり、暗くなっていくのを眺めていた。
庭に堆肥を鋤き込むなどして、夕顔とアーティチョークの発芽していた苗を定植した。例年のようにちんたらと植え替えをしているなあ。夕顔は闇に花の香るのが待ち遠しく、アーティチョークは来年以降に食べられるはずのつぼみに期待してる。
やせ細っていく猫サキの、今日は満12歳の誕生日だった。食が細くなっているため、鮭や小アジの焼いたのや、マグロの切り落としに火を通したのをほぐして与えるのだけれど、サキは二口三口を食べると「もういい」というそぶりをしてそっぽを向いてしまう。ちゅーるは食傷気味の様子だ。
動物病院の先生が仰った最初の目標が、五月の予防接種まで生き延びることだった(投薬や外科的な手術無しでの)。だから、カレンダーを見ればサキが頑張っていることは分かる。付き従う人間はもう、おいしそうな真新しい食材を持ち寄ってなんとか食べてもらって、喉を鳴らしてくれるように撫でて、苦痛の少ない状態でより生存してもらうことを願うのみだよ。
このごろ聴きたいCDのリスト。
それから、いま使っているJVC HA-FX700というイヤホンの接触が駄目になってきてる。イヤホン貯金することに決めた。
昨日朝に近畿地方で最大震度6弱。災害の様相を呈しているし、困ったことはこれから増えるのだろう。外野は慌てないことが大切だと思うようになってる。
祖父宅で庭仕事の手伝いをしていたところ、叔父から本をもらった。佐々木譲『武揚伝 決定版 上・中・下』(中央公論新社)という、一冊あたりふつうの文庫の二倍も厚みがありそうな歴史物を、三冊。僕は歴史が得意ではないのだけれどなー。でも、先方では何か思惑などあるのかも知れない。読みたいときに読もう……。叔父は手の爪と指の肉質が剥離したさまを僕に見せながら、抗がん剤でこうなってると言った。
友達の家を掃除して回る寿司を奢ってもらった。
「内向的なことに耽るとき、夜明けが遠くあって欲しい。」なるメモがEvernoteに残っていた。