検定に受かったことを記念して回るお寿司を食べに行った。道すがら日差しは不思議とまぶしく、ひかりだけはもう春のそれのような、でなければ一面銀世界の晴れ空のようにあっけらかんとした感じがする。お店のカウンターでお茶を飲みながら、なにをするのも自由と思ってやはり不思議な感じがした。そのあとは地元の神社へ初詣。個人的に神仏へ願をかけるのは好まないので、神社へ参拝にくればいつもするように、挨拶と近況報告、それと今後の方向性などを伝えつつ手を合わせた。おなじ境内にある稲荷神社などへも挨拶。それから参道を逸れ、桜の木に囲まれた静かな場所へ出て、町の景色や斜面の墓地など眺めたり、目を閉じて感覚を手脚や肌や耳へ分散させたり。去年の今ごろにもここでおなじことをしていたような気がする。くつろげてからは来た道を戻り、社務所の横でおみくじを引いた。末吉。去年もおなじだったような。ぱっとする内容があんまり書かれてないねえという感じではあるものの、バランスとタイミングをうまくとるべしというメッセージを受け取ることにして、おみくじはそのへんへ結びつけた。それからいつもの見晴らしがよい椅子とテーブルがあるところで下界を見下ろしつつ、しばしのんびり。あとふた月もすれば桜がどうとか言いはじめるだろうことを思って待ち遠しい。去年の夜桜はやはりここから観て、市街のそこかしこから大きく響いてくるあまがえるたちの声を愛おしく感じた、そのことを思い出していた。一年は、はやい……。そうして気が済んでから帰途。まだ考えているだけのことなのだけれど、一月末に実習があり、五月からは就活の段階へ入れたらよいねという予定になっており、そのあいだの三ヶ月になるべく複数の実習の予定を詰め込みたい。で、その合間を縫って、バンコクあたりへ一週間か十日くらい、目的もなくただ滞在するくらいの緩さで旅行へ行ってみてもよいのでは、という気がしている。空港と飛行機を使って海外へ一度行っておけば、国内外問わず旅行のハードルが下がると思うんだよね。セーブポイントをつくっておくというか、外の空気を吸って覚えてくるというか。北海道を一周したことで、時間/距離ともにおなじだけの射程が各地へ伸ばせることを覚えただけに、海外へ行ってみるという選択肢をいまのうちにじぶんに取り入れておくのは、わるくない案だと思うのだよね。心身の余裕から見て冬場に大きな行動ができるかわからないし、ワクチン接種だとかそれなりの段取りも要るだろうし、このことはいまのところ頭のなかにあるだけのものなんだけれどさ。夕餉のあとでムーミンの挿絵集をめくりつつ、『ムーミン谷の彗星』のあたりに独特な懐かしさと幻想的な寂寥感がにじむのが心地よかった。子供のころ初めて読んだムーミンが青い鳥文庫のこの彗星で、うちになぜかカバーもなく転がっていたのを見つけて読むうち、引き込まれたのだった。三十年近いお付き合いになる、あきらかにじぶんのなにがしかを形づくっているもの。そろそろねむたい。おやすみ。