2024年5月5日(日)

素晴らしい陽気の日。午前中は庭へ出て、菜園に野菜の苗を植えつけたり、母に頼まれた場所の草むしりをして過ごした。ひとたび地植えにしたいちじくを移す大型の鉢を買いに、午後は園芸店へ。日が暮れてからは夕餉を食みつつ『エル・スール(字幕版)』を観た。『ミツバチのささやき』の監督の次なる作品だというので手を伸ばした映画。後者はクラフト・エヴィング商會『アナ・トレントの鞄』(新潮社)で気になり、DVDを手に入れて観たのだった。今回の作品も収まりのよい感想はなんだか出てこないなー、という思いを抱いた。じぶんはスペイン内戦についてよく知らないのだけれど、どちらの物語もその戦乱の影が重なるということがそうさせているのか、どことなく不安になるような懐かしいような雰囲気。でも、こんどの『エル・スール』はニュアンスの異なる引き方なんだよね。父親にとって娘のそぶりは最後の糸が切れたようなものだったのかもしれないけれど、悩みの深さという言葉で語られたとおり、彼自身がひとりで出口の見えないトンネルを進んでしまったところもある。ラストシーンの先にあるのはどんなできごとなんだろね。人々のあいだにある距離感やその変化が伝わってくるものの、心そのものは見ようとしてもよく見えない(分からないし多くは語られない)、観た側のじぶんにとっては時間をかけて消化していくような映画なのかなと思う。主人公のエストレーリャ(とくに幼少期の)は大きな黒い瞳が印象的で、そこもやっぱり『ミツバチのささやき』の主人公アナ・トレントを思い起こさせた。いまエストレーリャ役の少女の名前を検索してて知ったのだけれど、なんとなく気になりタイトルだけメモしてあった『マルメロの陽光』という映画、おなじ監督の作品だ。今後配信などあればこちらも手を伸ばすかも。

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