教えていただいた本屋さんへ向かう。道すがら、地域の秋冬の風物詩なたい焼き屋さんがことしも営業していた。思わず止まって二尾購入し、途中の産直を覗くついでにもしゃもしゃと食む。それから道の駅へ立ち寄り、そこでいちじく三種類を手に入れた。疫病の流行状況が底を打ったこの頃合いで行楽に、ということなのだろう、道の駅の産直も中高年を中心に人出で賑わっていた。そこから山道へぐいぐいと入り、目当ての本屋さんへ。そこは山あいの農家を改修したようなお宅だった。お店の主とどなたかが談笑しているところへ、広い庭を抜け向かっていく。そちらに挨拶してお邪魔したお店は、白い木造のこぢんまりとした小屋のようだった。お客が数人入ったら満員、くらいの規模の店内に、おもに古本らしいくったりした感触の本が所狭しと並べられている。ざっくり見回してこれはやばいなーと思った。どれこもれも持って帰りたい本ばかり。そこから矯めつ眇めつ吟味するうちに二時間が経っていた。さっき数えたところ16冊買っている……。お会計のかたわら、店主の方から、製本教室(これは予約が埋まってしまったとのこと)と、本についての話が中心の相席喫茶をそこのお庭で催すことをうかがった。その庭はこのお店のことを教えて下さった方がおっしゃっていたとおり、昼の日差しが美しい広々とした庭先だった。ここでひとさまの話を聴くのもたのしそうだ。本の詰まった紙袋二つをなんとか原付に積んでよろよろと走り、用事など済ませつつ帰着。さっき本をぱらぱらとめくった。いくつかの写真集、これは引き込まれるように眺めてしまう……。もう遅いから早いとこ眠ろう。