乃木神社に参拝。休日ということを鑑みても、境内は普段よりいくらか人の気配が濃かった。日よけの葦簀に吊り下げられて風に鳴り響く風鈴や、六月尽を過ぎても置かれている茅の輪などから、なんとはなしに訪問してくれたらという神社側の気持ちが垣間見える。拝殿前でお賽銭をして挨拶を済ませ、裏手の杜へ。緑と朽ち木の匂いでむっとする遊歩道を少し行くと乃木清水へ至る。冬に訪れたときのそこは水が涸れた堀に見えたけれど、今回は透き通った湧水が滔々と流れ出す小川に変わっていた。この乃木清水にはノギカワモズクという珍しい藻類が生息しているそう。川底をよく観察すれば赤褐色の藻の塊を見つけられたんだろうけれど、ちょうど親子連れの姿が見えたこともあり、水を掬ってざっと見回す程度にとどめてしまった。程よく冷たい水だ。見上げると少し先で大木が根元から折れており、周囲には黄色いテープが張り巡らされていた。あー、境内のほうから来たとき紐が変な位置にあったのは、これだったんだ。うっかりしてしまった、気をつけないとね……。それから歩道をぐるっと回り、静沼に響く子供たちの声を聞きながら、元の境内へと戻った。参道正面の鳥居のたもとを流れる水路(御手洗川、みたらしがわ)には、柔らかいバイカモのような水草が梳かれるように揺れ、その様子が風鈴のちりちりからから響いてくる音色と相まって、涼しげで心地よかった。今日は朝と夜に雨が降っているものの、神社周辺に滞在していた昼のころは雲間から青空が覗き、ときおり日も差すような散策向きの天気だった。二週間前の日曜はここへ来ようとして雨に挫かれていたから、きょうの天気の巡り合わせに感謝だよ。