物置の裏(栃木弁で後ろのこと)に並べた椎のほだ木から、握り拳よりも大きなしいたけが三本、にょっと生えていた。去年の三月五日に祖父と菌駒を打った木だ。あのときは祖父宅の裏庭で一緒に作業していたところで、そこへ暇そうな叔父もやってきて、闘病の辛さから来る冷笑混じりで僕らを見物していた。もう二人はいないけれど、こうして思い出すことはできる。
野辺で写真を撮ることは他者の感情を刺激するかもね、みたいに書いたのは、確か桜が咲くころだったような。感染拡大の怖れが低い状況で手早く撮ってはいるものの、気ままに振る舞うことやそうして撮ったものをアップロードすることに引け目を感じない、と言うと嘘だ。現時点では適切な判断をしながら撮影してるつもりだけれど、見えない不平等感や抜け駆け感が周囲に強まってきたら考え直すつもり。
きょう、石油ストーブを片付けた。午後から小雨。降り始めは青葉の匂いが、しばらくして雨の匂いが流れてきた。