少し前から吉田篤弘の「レインコートを着た犬」が手もとにある。のだけれど、こちらは月舟町三部作ということで双子の処女作から順に読んでいる。
「つむじ風食堂の夜」はこれまで辿ってきたものがそこへ収束している印象。Twitterかどっかで吉田篤弘作品に死の陰が濃いのはどうなんだろうと書いたけれど、理由は本書のあとがきで氷解。中古で手に入れた「フィンガーボウルの話の続き」には、新潮社の編集者が刷ったらしい著者の紹介(と読みどころ案内)ビラが挟まっていた。感想送りつけ先のアドレスや名前、本書のコピー(二十一世紀最初の秋の夜長、とか、ビートルズのホワイトアルバムを聴きながら、など)が載っている。
いまラジオで、箱根町にて微震が何度か続いたと報道してる。震災のときのような、明けるかどうかわからない夜を感じる。