けさ方みた夢のなかでいくつかの音楽が聞こえていて、それが心に響いて泣きそうだったことを、原付に乗っていてふと思い出した。断片的に覚えているのは松任谷由実の歌の「強くなる もっと強くなれば 忘れずにいられる つらくても きっとあとになれば やるせなく思える」という歌詞。それとは別にやはりけさみた夢のことも思い出した。知らない街の知らない駅前にいて、知らない百貨店を地下へ降りていく、それを懐かしく感じた夢。そうそうここにあるコーヒーショップではよく豆を買うんだよね、イルガチェフェあるかなとか、この通路の先を上階へ行くと雰囲気のよい書店があることや、その店内の落ちついた風景のことも不思議と知っていた。なぜ知らない景色があんなに懐かしかったんだろう。よく思えばまるで知らないわけではないようだった。学生のころたまに通っていたコーヒーショップや大型書店のことを、夢を起点にぼんやりと思い出す。手がかりがあるからそんなことがあったとわずかに思い出せるだけでディティールはすっかり失われているのに、種子から芽が出て枝葉が伸び木が育つように、まるで懐かしさそれ自体を核に記憶の風景が新たに再構築されたような、そんな夢だった。それでもなおその懐かしさはどこからきたのかと不思議に思う。夢というと、幾年か前までの長い期間、みるのは人生のある時期までに出会った顔ぶれと風景の組み合わせでしかなかった。時が止まっているという表現があるけれどまさにそれで、くすんで退屈で、そんな夢から目覚めるときはいつもすこし疲れていた。そうした夢の内容が徐々に変わり、もっとあとの人生の顔ぶれや知らない人や知らない風景が出てくるようになったのは、リハビリをはじめてひとの集まる場に出かけていくようにしたころから。時が止まったようとか、歯車が動きはじめるとかの表現は、少なくともじぶんにとってはただ文学的なものではなく、実際のこころの状態なのだなと思う。ぜんぜん話は変わって、漫然と触っているポケGOのポケストップを近所に増やそうと画策してる。田舎だからアイテムが手に入るそうした場所はまばらなんだよね。ないならじぶんで増やそうという気になり、承認されるか微妙なレベルのランドマークを集めて丁寧な名前と説明、そして念入りな補足を付けてる。審査には数ヶ月から一年かかるという話もあり、それを一週間ほどに縮められる方法として、ナイアンティックのWayfarerでよそさまの審査を何百とこなしているところ。由緒正しきひまな人間というのはひまも退屈もしてはいないんだよねえ。仲野順也さんの新しいアルバム『Alternate Versions 1』をBandcampから手に入れて聴いてる。やっぱりこの方の音楽すきだなあ。過去作品のアレンジそのいちということで、今回のはさまざまなテイストの作品が水色と緑のすがすがしく洗練された印象で統一されている感じがする。「Glass Sky, Hollow City」がいっとう好み。