のんびり過ごした日。車で用事に出るのも慣れつつある。『Flow』観た。突然の洪水に見舞われた動物たちの不思議な旅路。絆がテーマといえばそうなのだけれどそれも押しつけるようなものではなく、謎めいた世界は結局謎のまま、美しい細部がイメージや断片のように印象に残る映画だった。冒頭の、押し寄せてくる洪水に飲み込まれ翻弄される仔猫の場面に目が潤んでしまうのは、うちにおなじくらいのがいるからだろうか。個人的にあのヘビクイワシが気になる。群れの中では弱く描かれたものの優しくて信念が先立つ性格なのはよく伝わってきて、ああいうはぐれものは好ましいだけに、あの不思議な別れはいったいなんだったんだろう。そこに仔猫が居合わせてよかった。どの生きものも性格がよく出ていて、ラブラドールレトリバーはたしかにああいう感じだよね、ひとにとっての愛情深さや快活さがほかの動物に鬱陶しいのはわかる気がする、と微笑ましくなった。ラストシーンの、この洪水はなんだったんだろう、という余韻がじんわり。先日ポチった手ごろな価格のポートフォリオボックスが届き、作品をファイルからそこへ入れ替えた。ひとに見せるなら厳選したほうがよいかも。夜はときおり風が立つほかは凪いでおり、いかにも冷え込んでいく季節らしく物音が澄んで静か。
