自分が同人やインディーズ系の音楽を好きなのはなぜか、たまに考える。ネットへアクセスし始めた思春期に触れやすかったのが、見知らぬ誰かがホームページで配布するMIDIやMP3だった、というのが大きいかなと思う。そのころアマチュアの音楽制作者が集って作品を公開していたmusieというサイトで、自分は聴き専としてあれこれダウンロードさせてもらい、そうして手に入れたMP3のかなりな数をいまもこよなく愛している。エレクトロニカや打ち込み系があいかわらず好きなのも、三つ子の魂百までというやつなのはたしかなのだけれど、もう少し掘り下げてみるとこうではと思い当たるものもある。自分は手作り感や不揃い感に惹かれるんじゃないだろうか。光り輝く宝石であれば持つことのない、鉱物が宿す複雑な滋味やいびつさ、こうしたものに(も)魅力を感じるんだと思う。これを言い換えるとしたら、誰もが好むような商業ベースの作品と比べてより制作者の一部分であると感じられること、作り手との距離の近さ、だろうか。少し逸れるけれど、個人的な植物の好みは花壇のお友達といった草花より、雑草と呼ばれる種族に傾いている。そんなことも含めると、自分が手を伸ばしやすい基準みたいなものは、距離を感じる/純粋さや完成されたものより、身近/雑然とした手触りを持つ側寄り、になるのかな……。雑然としていることが含む豊かさには驚きや思いがけなさが隠されていると思う。あ、驚きを求めているのかもしれない。驚きや思いがけなさに出会いたいなら、メインストリームから少し外れて辺縁を渉猟してみることは有効だから、そうしたお宝探しをするような傾向が音楽では同人やインディーズ系の作品へと向けられているのかも。頭がぼーっとしたままでまとまりもなく書き出してみたら、以前よりはしっくりくる理由が見つかった。きょうはこのへんで切り上げ。