めぐりズムのおかげで目の周りの凝りが一時的にでも解消された気がする。疲れていそうな家族に一包ずつ渡した。きょうは風が強く寒い日。タンポポの葉と野蒜を採ろうと祖父宅へ寄ると、母が草むしりをしていた。彼女は人がよすぎるように思う。定期通院先では長い待ち時間のあいだに舟をこぐ人々が現れ、看護師さんが窓を開けていた。自分も診察でながっちりをしたことは度々あるから、診察室から出てきた人は肩身の狭い思いをしなければいいなと思う。文庫を持ってきてよかった。星野道夫『旅をする木』(文春文庫)はこうした待ち時間に読み進めている本で、なかなか読み終わらずにもう数ヶ月も方々を行ったり来たりしている。その中にある、生命体の本質は他者を殺して食べることだ、という文が目を捉えた。動物たちの霊をなぐさめ、いつかまた戻ってきてふたたび犠牲になってくれることを祈る、その無言の悲しみに私たちが耳をすますことができなければ、人間と自然との関わりを本当に理解することはできないのではないか……というもの。人間が肉を食べるのは自然なことだということを、ふんわり考えはしつつも根拠をうまく言葉にできずにいたから、納得しながらその悲しみにこちらまであてられてしまった。先生は引き続きどこかくたびれて見えた。