定期通院の日。前回から引き続き気分が沈んでます~という話をしたところ、じゃあ一時的に気分が持ち上がるようなものを処方してみましょうか、という話になった。あとで見たところアモキサン。気がちがってドクターショッピングをしていたかつてのおろかな知識がよみがえる。わりと古い世代のものだけれど、いまもこうして現役らしい。効果は徐々に出てきます、と見習いらしい薬剤師さんが話してくれたことだし、おとなしくきちんと飲もう……。薬局の帰りに、通りすがりの女性があなたの肩汚れてますよと指摘してくれた。善意からの親身という感じで、ああひとりではないんだなあということを思いながら、お礼を言った。こうしたことを自分も周りへ還元できているかどうか、折に触れて問うていくべし。今年の関東圏ではアミガサタケの出現がおかしなことになっているそう。これからしばらくは雨降りの頻度が多めと予報にあるから、晴れ間を縫って桜を見るそのついでに探せたら。これからラジアンF待ち。きょう観た『人類遺産』は、白さの表現が柔らかく多彩で細やかだった。滅びの色はくすんだ色なのではとなんとはなしの先入観を持っていたけれど、こんなふうな白さを伴うのかもしれないと思った。看護ベッドが並んだ広く明るい病室のシーンがある。そこの窓が風に揺られてか細く鳴っており、その階調豊かな病室の白さと相まって、ああこれはたとえ文明そのものが終わったあとだとしても、そこに居たいようないい風景だ、と思った。豊かな白と饒舌な暗転の映画。このごろ、夜の空気は室内へのんびり取り込めるほど温暖になってきた。ソメイヨシノが散ってしだれ桜が咲くころになると、近隣の田に水が引かれる。そのころには蛙の合唱が聞こえてくるはず。あれはなによりもよいものだ。春の賑やかな宵闇が待ち遠しい。