耳鼻科へ。気分は相変わらず沈んでしまうけれど、それでも笑えるしょうもないことがあったりして、あーこの浮き沈みをどうにかやり過ごすかーくらいに思えてきた。単純なのかもしれない。でも、自分のちょろさやわかりやすさといったものを素直に表明できる人のほうが、僕は好きだ。数日前にあちこちで解禁された大滝詠一という方のアルバム『A LONG VACATION』を聴いてる。日本のポップス史はここからと評されていたこのアルバムを起点に、邦楽の名盤をざっくり漁りたい。去年の今ごろ、祖父が亡くなったのと期を同じくして邦楽のベストアルバムを漁り始めたところ、ああこれはいいなと思える曲にたくさん出会えたんだった。今回は「邦楽 名盤」というワードでより踏み込めそうに思うから、そのへんをまとめたHMVあたりの記事を辿っていけたら。こうして一般的によいとされるものの中へこぎ出していけるのは、自分はこれが好きだと言える確かな港を築けた、その安心があるからなのかもしれない。ことし二月から三月にかけてクラシック音楽をざっと洗ったのも、遍歴としてはなにか意味を捉えることができる出来事なんだと思いたい。雑誌『旅行人』と旅関係の雑誌を数冊また仕入れた。『中南米マガジン』は手に取りやすい判形で、常に進行形といった印象の文章に見える。『風の旅人』はなんかすごいな……。美しい風景写真集+エッセイとして読めるのだけれど、静謐な祈りの印象がある。おかしなニュアンスではなく、精神的な張力を巡らせているような読み物。時代としては少し古めの雑誌たちだけれど、マスクもテロも(あまり)なかったころのものだから、旅の読み物としては上質なもの。少しずつ読もう。