きつねのコヤンカは村いちばんの先端恐怖症でした。勢いよく生えるひげがもし目に入ったら、そう考えるだけで身がすくむため、伸びたそばから切断していました。初めのうちはそれで幸せに暮らしていたのですが、次第に自分たちの鋭角な耳、鼻づら、そしてしっぽが気になりだしました。続かない。
果物市場で文旦を見繕ったり、カメラ屋でストラップを見たり。手元のカメラストラップが駄目になったことを理由にピークデザインのコネクタ+アンカーリンクを手に入れたので、そこへ通したいストラップで手頃なものが置いてあるか、探しに来たのだった。革製のストラップは高いなーと思い、店内の品揃え豊富なマスキングテープの棚を漁る。なんというか誘導されやすい客だと自覚はあるけれど、カメラ屋へ来る客層とマステは相性が良いようにも思える。自分の知る限り、近隣で数が揃っているのはこことダイソーくらいだしね。それから、地元の方々による写真展が市役所で開かれているとのことだったから、ふらっと立ち寄った。特に展示室があったわけではなく、一階通路沿いの飲食ブースに作品が額装されてあるのをひとりぽつんと眺めて回る。フィルムのなまめかしさと透明感はいいものだ。ヒツジグサかなにかの水草が水面に浮かんだまま紅葉している写真は、水を写した暗さの中にすべての色彩が揃っていた。あれがいちばん印象に残ったなー。きょう唐突に降ってきた「きつねのコヤンカとおおかみのマズルカ」という完全にネーミングが先行したネタは、むやみに消費せず温めたほうがおいしいかも。ふたりはいつもなかよし及び凶悪さで知られる強盗グループ。たぶん。