『ビューティフル・マインド』観た。後にノーベル経済学賞を受賞する数学者の、統合失調症に翻弄された人生の話。現実と区別できなくなるような幻覚を含めて、世界との違和感が不気味に立ち上ってくる感覚を、とてもリアルに再現していた。地味だけれど注目すべきは、そうした彼を支える妻と友だち(現実のほう)の存在。見られているとか尾行されているといった脳内で作り出される妄想は、それが主観である限り、どこまでもリアルなものなのだよね。自分が楽に生きられるようになったのはここ何年かの話で、失うばかりではないと肯定的に捉えられるようになったのも、わりと最近のことだった。暗がりから日の光の下へ出る幸運を信じられると、誰かに伝えられたら。それは夕暮れの草原を吹き渡る風や空が地上の果てまで続いていると知る、現実への感動だと思う。