ほんとに那須颪が強い。只見や尾瀬の深い方角からこちらへ向かって、那須連山に波濤のような冬の雲が打ち寄せていた。これからの季節、あの雲の下にある塩原は寒く閑とした印象があるけれど……高原山の裏手のスキー場には、ウィンタースポーツを楽しみにする来訪者が数多いそう。それにあの谷は温泉郷だものね、凍り付く季節でもくつろぎを求めて旅行者はやって来るはず。安心してさみしさを心地よさに変換できるような。
桜の樹皮でできた小さな茶さじが手元にある。加工しやすい竹でクリップぽいお香立てを作り、そのさじに組み合わせたら、いい感じのインセンスホルダーになるんじゃないかなーと画策してる。お香の軸周りが炭化することを防ぐために3mm径の鳩目が要る。あとで手芸店に寄ろう。竹はなー、祖父からもらってきたものが部分的に虫食いにやられていて、ちょっと美観を損なう。青竹の手に入るルートはないかなあ。こうした自己満足性の強い、いくら時間を掛けても構わない生活上のひと品みたいなのは、計画を抱いていると日常が楽しいかもね。
かつて写真講座(ごく初心者向けだった)を受けていたときにお薦めされた書籍をいまさら思い出し、Amazonの古本市場で取り寄せることにした。大竹昭子『眼の狩人』(新潮社)という、14名の戦後写真家の軌跡が書かれているそう。