何年も積んできたロバート・A・ハインライン『夏への扉』(ハヤカワ文庫)を一気に読了。カバーを無くしている……。後半の駆け抜けるように軽快な展開に加え、SFらしい胸の透く高揚感があり、読んで良かった。今積んでいる本にティプトリーの『愛はさだめ、さだめは死』があるから、SF枠だと次はたぶんこれを読むのだろうか。
枕元に二段の積み本棚を据え付けて以来、そこへ目ぼしい未読の古本を輸送するようになっている。本があるあいだは消費より好奇心が勝っているということで、たぶん精神の衛生にだってよいはず。ムーミンは今年も繰り返しかじり読みをしている。
それから、古い革靴を磨いて直そうとしたり、香を立てたり。
ゲルマニウムラジオで高校野球中継を聞くとき、耳を澄ますことで蝉の声が遠ざかり、現実離れできることを見つけた。テレビアンテナとアースに直結している今のゲルマラジオでは持ち運びが出来ない。それで、コイルを性能良く巻いて作るか、あるいはごくコンパクトにするかして、好きな場所で聞けるようなラジオを作る予定でいる。具体的には大型の木枠や小さなマッチ箱でアンテナコイルの大きさを変えてみるつもり。今のゲルマラジオはもう先の冬から、無電源で微小な放送をずっと流し続けており、そこに不思議な情感がある。