2024年5月6日(月)

写真を編集したほかはなにごともなかりし日。暗い庭から聞こえる雨音を前に詩集やイラスト集をめくっていたら、遠くで鶏が時をつくる時間になっていた。この凪いだ気分のままおふとんへもぐり込む。

2024年5月5日(日)

素晴らしい陽気の日。午前中は庭へ出て、菜園に野菜の苗を植えつけたり、母に頼まれた場所の草むしりをして過ごした。ひとたび地植えにしたいちじくを移す大型の鉢を買いに、午後は園芸店へ。日が暮れてからは夕餉を食みつつ『エル・スール(字幕版)』を観た。『ミツバチのささやき』の監督の次なる作品だというので手を伸ばした映画。後者はクラフト・エヴィング商會『アナ・トレントの鞄』(新潮社)で気になり、DVDを手に入れて観たのだった。今回の作品も収まりのよい感想はなんだか出てこないなー、という思いを抱いた。じぶんはスペイン内戦についてよく知らないのだけれど、どちらの物語もその戦乱の影が重なるということがそうさせているのか、どことなく不安になるような懐かしいような雰囲気。でも、こんどの『エル・スール』はニュアンスの異なる引き方なんだよね。父親にとって娘のそぶりは最後の糸が切れたようなものだったのかもしれないけれど、悩みの深さという言葉で語られたとおり、彼自身がひとりで出口の見えないトンネルを進んでしまったところもある。ラストシーンの先にあるのはどんなできごとなんだろね。人々のあいだにある距離感やその変化が伝わってくるものの、心そのものは見ようとしてもよく見えない(分からないし多くは語られない)、観た側のじぶんにとっては時間をかけて消化していくような映画なのかなと思う。主人公のエストレーリャ(とくに幼少期の)は大きな黒い瞳が印象的で、そこもやっぱり『ミツバチのささやき』の主人公アナ・トレントを思い起こさせた。いまエストレーリャ役の少女の名前を検索してて知ったのだけれど、なんとなく気になりタイトルだけメモしてあった『マルメロの陽光』という映画、おなじ監督の作品だ。今後配信などあればこちらも手を伸ばすかも。

2024年5月4日(土)

のんびり。ベランダに出していたくちなしが葉をしおしおにさせていて、慌てて水をやったけれどすこしへこんでしまった。なんでほっといたんだろ。そして苗類を植えつけようと重い腰を上げたらこちらも萎れており、やはり水を浴びせるように与えた。どれだけ回復するかな……。繰り返しへこむけれど、最近のじぶんは思っていたよりもしんどかったのだと思うことにする。早めの夕餉を食みながら『不思議惑星キン・ザ・ザ(字幕版)』観た。どこか遠い惑星へワープしてしまったおじさんと青年が異星人二人組と出会い、なにもかもわからない道中に見舞われる話。すごく独特で記憶に残りそうな雰囲気だった。物語が進むにつれ、高圧的だったおじさんが友情を重んじるよい人になっていく。あと青年の手癖が悪い。わりと淡々とした描写なのだけれど、不思議な余韻も残る映画だった。そのあとはとっておきのクラマトとビールでカクテルをつくり、それを舐めつつ印象派の美術本をめくって過ごした。今さら気づく、よい一日だったのだね。あすは上記の苗類を植えつけられたら。

2024年5月3日(金)

洗濯ものを回して果物市場へ向かった。なんとなく思い描いていたすいかはまだ並んでおらず、メロンひとつといちごひとパックを見繕った。そのあと近場の産直を覗き、まだ知らない細い道を通って帰ることに。ふらふら行くと田んぼや畑のあいだに小綺麗なあぜ道と植え込みが延びており、五月の日差しも相まって雰囲気がよかったため、立ち止まり入っていった。すこし歩いた突き当たりに雑木林が広がっていて、その中は広場のように整えられ、疎水の水路が入り組んで延びている。立っていた看板を読むとそこは明治期の開墾を伝える史跡だった。かつてあった建物(農場の事務所だったり村役場になったり学校も兼ねたりと変遷している)が時の経つうち朽ちて取り壊され、その跡地がこうして公園となっているとのこと。ケヤキらしい巨樹がそびえていたりと木立に囲まれた静かな場所で、水路から池へと落ち込む水をしばらく眺めた。その近くに生えていたミントを揉むとちょっとだけ爽やかな香り。やがて帰途についた。帰り際、荷物を積んだ旅行者らしきバイク二台が前を走っていたのを観察してしまった。おもに後部や側面への荷物のくくりつけ方とか。一ヶ月後くらいにはじぶんもそうしているだろうしね。うちへ帰ってきてからはぬいたちとごろごろして過ごした。眠ろ。

2024年5月2日(木)

きのうの雨は上がり、ひんやりとした晴れの日。午後から買い物に出て、帰ってきてからはクレマチス二種の誘引をした。あとは咲くだけならよいのだけれど、ここのクレマチスたちはもう一度くらい誘引が必要になりそうね。夕暮れのなか、モッコウバラとモンタナ系クレマチスを撮ったり、咲きはじめたナニワイバラもついでに撮ったり。モンタナ系クレマチスのエリザベスは甘くまろい、素敵な香りがする。そのあとガーデンパラソルを立てようとして部品を弄っていたら手が滑り、ネジ山で指先を思いのほか深くえぐってしまった。きょうはもうおしまい。あすは久しぶりにくだもの市場を覗くことにして、早々に眠る。

2024年4月29日(月)

午前中はNPOさんのところへ行き、スタッフさんとほかの利用者さんとでお菓子作りの年間計画を立てた。ジェラートのほか焼き菓子も本格的に作ろうとか、そちらはゆくゆくは別のグループを作って任せてはとか、視察(という名目で地域のスイーツを食べに行く)をちょくちょく盛り込もうとか。一時間も経たずにざっくりと概要は出来上がり、スタッフさんはしばらくして印刷した年間計画表を渡してくださった。一緒にいた利用者さんが新調した筆記用具を見せてくださったので触ったり書いたりしていたのだけれど、一、二ヶ月のあいだにペン類がぐっと増えた気がする。その方はアナログでイラストを描かれるだけあって、各商品の使い心地の違いや流行りにも詳しい。0.2mm芯のシャーペンとか、(よくあるはめ込み式のものではなく)回すと繰り出せる消しゴムが普通に装備されていることとか、筆記用具は進化しているんだね。ひとしきりお話をしたのち別れ、じぶんは食材を買って帰路。うちではクレマチスのRAW現像をしたり、ぬいとのんびりして過ごした。日付も変わったことだしおやすみ。

2024年4月27日(土)

午前中のみ通所。部屋に入るとスタッフさんのほかは利用者さんがひとりだけだった。スタッフさん曰く、連休初日の週末ってみんな休みたいんだね、というわけできょうはフリータイムにします、とのこと。これだけがらんとしているのは新鮮であるし、ひとはいないほうが気楽で集中もできることだし、負荷の軽い読書を黙々と進めた。うちへ帰ってきてからはとくになにをするでもなく、夜更かしをするうち夜が明けていまに至る。クレマチスの写真をまた撮った。眠ろ。