2021年4月4日(日)

トレリスの設置とクレマチスの植え付けや誘引がやっと終わった。トレリスはかなりいい感じにしゅっとした見栄えに仕上がった。じつはワイヤーメッシュ三枚の横幅が想定していた長さに少し足りなかったのだけれど、鉄線同士の端をフックのようにかみ合わせたままテンションを掛けることで、かえってすっきりと設置できた。あれなら構造的に風が吹いても音は出ないだろうし、揺れも少ないはず。珍しく機転が利いてえらい。クレマチスはあと一、二週間で咲き始めそうだ。

2021年4月3日(土)

一日中、トレリスを作ったりクレマチスの植え付けをしたり、母と庭の作業をして過ごす。くたくたに疲れた。とりあえず設置までこぎ着けたトレリスは時間も針金も足りなかったので、あす雨が降ってくるより前に固定作業を片付けるつもり。クレマチスはもう蔓もアーモンド大のつぼみもばんばん上がってきているから、いいかげん誘引してやらないと地面でのた打ちながら咲いてしまう。穴を広げたり土の配合などのために屈み通しで、ずっと股関節が痛かった。花散らしの雨となる前に夜桜を伺おうと、夜更けに神社のある高台へ行った。疫病禍で自粛しているとはいえ、そこは八時か九時までぼんぼりに明かりが入っていたと思われるけれど、さすがに僕の着いた二十三時過ぎには辺りは真っ暗だった。日没後の神域はおっかないから頼まれても踏み入れたくない。ので、駐車場の近くにあり町並みを見下ろせるいつものベンチで、缶コーヒーを飲みながら夜景や送電線の赤く点滅する光を眺めた。春の夜の光源は滲んで賑やかな感じがとても好きだ。あの点滅する航空障害灯は風景が持つ緩やかな呼吸なんだなあと思う。日付が変わるころ撤退し、スーパーで買い物をして帰途。

2021年4月2日(金)

ワイヤーメッシュにまずは防さび塗料を塗る作業を母と一緒にやった。あしたはそれらにペンキを塗り、乾くのを待つあいだにクレマチスを植え付けたのち、トレリスとなったそれらを設置&蔓を誘引、まで行えるといいな。日曜は雨らしいからあす中に済ませてしまいたい。ワイヤーメッシュは鉄線の直径が2.6mmとおそらく最も細いもの。強度に多少の心配があったけれど、柱にかみ合うよう素手で曲げ加工を施すには都合がよかった。飛びだした鉄線を折り曲げるためには祖父の残した道具が役に立った。彼の道具類を欲しがったのは親族のうちでも僕だけだったけれど、こうしてありがたく役立っている。形見分けとして自分が引き取ってよかったと、しみじみ思う。『自転車泥棒』観た。題名の通り、不況のローマでやっと職に就いた父親が仕事に必要な自転車を盗まれ、それを息子と一緒に探し回る物語。やわらかいところをぎゅっとつかまれるような、居たたまれなさや容赦のなさが入り交じった映画だった。徐々に余裕を無くしていく父親は見ていてけっこうどんよりする。人々が剣呑なだけでなく振る舞いもどこか粗雑だと感じたのは、これが古い映画だからなのかなと思ったけれど、不況で殺伐さがはびこった風景でもあったんだろな。でも、こうしたやりきれなさ一辺倒ではないんだよね。盗まれた自転車は分解されて市場に出ているはずだと、仲間が朝から一緒に探し回ってくれたりする。盗品探しがばれないよう分散して探そうと言っているのに、なんとなくみんなくっついて歩き回ってしまうところは、ああそういうのってあるよねという感じがして少し微笑ましかった。物語のあとで親子は心になにがしかの傷を持っただろうけれど、二人が手を握り歩いていく場面を思い出すと、つらい世の中でも希望を手放さずに生きて欲しいと願う。……僕も子供のころ、近所の悪たれに自転車を盗まれたことがあり、そいつのひがみを酌量しても許せんといまだに根に持っている。こういう理不尽に降りかかってくる悪意って、無理に飲み込もうとしても喉につっかえて苦しいのだよなー。週末の夜につきラジアンF待ち。

2021年3月31日(水)

神社の桜を再び撮った。今日を含む数日が満開なのだろな。花はすでに受粉したものばかりで、しべの付け根あたりの色が濃い赤紫に変わっていた。花が散り始める前に夜桜を見に行くのはどうだろうか。写真のついでに、足下の土手にこんもり生えていたカラスノエンドウを収穫し、あとでゆでてお浸しにした。マメ科のうま味と甘みがあっておいしい。この時期の茎はすでに筋張り始めているようだから、さらに利用するなら冬が明けたころの軟らかいものか、できるだけ茎の先を摘むのがよさそうだ。いまはまだアブラムシが付いておらず、おかげで茹でやすかった。カラスノエンドウは柔らかな草姿や細い蔓の曲線が綺麗だと思う。ワイヤーメッシュが無事に手元へきた。トレリスとして設置するためには端をうまく曲げる必要がある。木槌や金槌はあるから、それらを使って加工するつもり。

2021年3月29日(月)

めぼしい神社を回ってアミガサタケを探した。きょうはきのこを見つけることができなかったけれど、桜やイチョウ付近にいい感じの焼け跡がある境内を複数確認した。もっかTwitterを併用して旬を追っており、関東辺縁でアミガサタケが発生するのはもう少し先のことなのではと思われる。地元の桜はあすあさってには満開となりそうだ。きょうは思いのほか花の写真が撮れた。RAW現像はいずれ。ワイヤーメッシュはあした金物屋さんが届けてくれることになった。

2021年3月27日(土)

近くの田を機械で耕す音が聞こえた。日中の気候はかなり温暖になってきたなあ。なんとなく過ごす日。ペンタックスのFA LimitedがsmcからHDコーティングとなって発売されるそう。時期は四月下旬とのこと。それだと旧型の中古価格は下落しそうだから、そちらを手に入れやすくなるかもしれない。手放してしまったけれど、77mmのボケはぎょっとするようなとろけ具合だった。43mmはその尖りっぷりを使ってみたい。しばらくそのあたりの中古相場を覗くつもり。

2021年3月26日(金)

定期通院の日。前回から引き続き気分が沈んでます~という話をしたところ、じゃあ一時的に気分が持ち上がるようなものを処方してみましょうか、という話になった。あとで見たところアモキサン。気がちがってドクターショッピングをしていたかつてのおろかな知識がよみがえる。わりと古い世代のものだけれど、いまもこうして現役らしい。効果は徐々に出てきます、と見習いらしい薬剤師さんが話してくれたことだし、おとなしくきちんと飲もう……。薬局の帰りに、通りすがりの女性があなたの肩汚れてますよと指摘してくれた。善意からの親身という感じで、ああひとりではないんだなあということを思いながら、お礼を言った。こうしたことを自分も周りへ還元できているかどうか、折に触れて問うていくべし。今年の関東圏ではアミガサタケの出現がおかしなことになっているそう。これからしばらくは雨降りの頻度が多めと予報にあるから、晴れ間を縫って桜を見るそのついでに探せたら。これからラジアンF待ち。きょう観た『人類遺産』は、白さの表現が柔らかく多彩で細やかだった。滅びの色はくすんだ色なのではとなんとはなしの先入観を持っていたけれど、こんなふうな白さを伴うのかもしれないと思った。看護ベッドが並んだ広く明るい病室のシーンがある。そこの窓が風に揺られてか細く鳴っており、その階調豊かな病室の白さと相まって、ああこれはたとえ文明そのものが終わったあとだとしても、そこに居たいようないい風景だ、と思った。豊かな白と饒舌な暗転の映画。このごろ、夜の空気は室内へのんびり取り込めるほど温暖になってきた。ソメイヨシノが散ってしだれ桜が咲くころになると、近隣の田に水が引かれる。そのころには蛙の合唱が聞こえてくるはず。あれはなによりもよいものだ。春の賑やかな宵闇が待ち遠しい。