2021年3月6日(土)

祖父の命日と一周忌の法要が近いため、そちらの墓を母と掃除した。曾祖母の命日はたしか八日で、祖父の九日と一日違いだとか。墓石をたわしで磨いたり、花を供えるなど。帰りに祖父宅へ立ち寄り、母がお焚き上げのため梱包しているひな人形などを覗いた。それから土手に生えているののひろ(野蒜)を採った。少し前に雨が降ったことで球根は瑞々しくなっているだろうし、祖父によれば野蒜の辛みが減っておいしくなる旬はいまくらいらしい。あとで味噌を付けてかじったそれは、最初にほのかなうま味がありながら、咀嚼するにつれ涙が出るような痛烈な辛みがあり、春の野辺から採ってきた野草の味がした。おいしい。育苗ポットへ播種したほうき草は二日ほど前に芽を出した。発芽率はよいようで、確率に合わせた数の種を埋めたはずが、おおむね発芽しているように見える。春の大型連休に向けて体格よく育つとよいな。ちょっと前に取り寄せたクレマチスの苗は毎日見るたびに蔓を長く伸ばしてる。株元から刈り取っても一年で数メートル伸びる種族だということは分かっているけれど、こうして日々の変化を目の当たりにすると、びっくりする。早いとこ地植えにしてやろう。辺りを見回せば福寿草や梅といった庭の花がたけなわで、足下にもタネツケバナやホトケノザ、菜の花なんかが鮮やかな絨毯のように群落をつくって咲いてる。夜風ももう、そこまで寒くはならない。いつの間にか春のなかにいるんだなー。しみじみとこのうれしさを思う。

2021年3月5日(金)

予備知識がないまま筋肉少女帯のアルバムを聴いているところ。いったいどういう世界観なんだと思いながらもいい感じに変な笑みが浮かぶ。戸田山和久『教養の書』(筑摩書房)が手元へ届いた。ちくまに載っていた「飛びだせ教養」をちょっと振り返るうち、それらの連載が加筆されて本になっていたことを知ったのだった。自分は教養が欲しいのかというとよく分からないけれど、映画『トゥルーマン・ショー』や洞窟の比喩について書かれていた部分が気になる。ので、その周辺のようなものをまとめて読んでみたい。本のカバーは革を再現しているのか、手触りが独特だ。

2021年3月4日(木)

ランドメイクと並行して進めているお話のプロットについて、ディティールの足りないところへ設定を付け足していた。これを書き上げたらWebページへ上げるつもりでいるほか、二つ折りか一般的な折り本として配布するのも楽しそうだ、と考えてる。セブンのA3モノクロなら印刷費は20円だから財布に優しいはず。ただ、そうするかどうかは鼻先のにんじんくらいの話。とりあえず、リストアップしてあるディティール不足の箇所へいい感じの話の流れを当てて、全体の破綻を減らすことを最優先するつもり。丁寧にやぐらを組み続けられたなら、歩留まりはともかくとして、いずれ完成へこぎ着けられる。日々の進捗をベースにこの自己効力感を大切にしていこうな。たまたま早い時期にこのお話へ手を付けはしたものの、これまでの創作の断片を一つの星の上での出来事として落とし込んでいるわけで、書き出したい話はほかにもあるよ。

2021年3月3日(水)

図書館で再びCDを借りた。カウンターで渡されたアンケート用紙に「視聴覚資料の貸出期限」についての評価欄があり、書籍2週間に対してCDなど視聴覚資料1週間の貸し出し期限をどう思うかについて、書籍の2週間に合わせては、という回答へ印を付けた。視聴覚資料は借りる絶対数が少ないため、あまり長い期間で貸し出すとそれだけ後続の人の損失になるかもしれない、そうした理由から現状では1週間としています、という注釈があった。もっともなことだと思う一方、こうしてCDを借りている身としては、もう少し長い期間借りられてもいいかなという思いがあったのだよね。最終的には数の力と職員の方々の判断があるわけだし、ひとりのユーザーとして軽く回答した。そもそも図書館の利用を再開してからまだ、一ヶ月経つか経たないかってとこだ。路上を走ると梅の香りが流れてきた気がした。もう一ヶ月と経たずに桜が咲くはずなんだなー。耐える気持ちでいた長い冬も、別れが近いとなると名残惜しくなるものだね……。桜が咲くのと合わせて、ことしもアミガサタケ探しを目論んでいる。たぶん自分の視界には入っているにもかかわらず注意が向いてない、そのせいでアミガサタケを見つけられていないんだと思う。Twitterのきのこ界隈を眺めていると、きのこを見つけるには「きのこ目」という、それを察知するための注意や慣れのようなものを身につける必要があるらしい。桜の季節に木の周りをうろうろするのは悪くないことであるし。道明寺スタイルの桜餅がおいしかった。

2021年3月2日(火)

午前の空は灰色の雲が低く早く流れ、午後からはまとまった雨が降った。日がなぬかるんだ土のよい匂いがした。日の暮れるころに風が出て、木々の梢はいまもごうごう音を立ててる。Simplenoteを使って「創作の活動履歴/関心/発想の記録」という見出しで、その日ごとに一行や二行の記録を(あれば)付けてる。ふわふわとした作業をするなか、言語化は一種のセーブポイントとなるのでは、と思ってのこと。感覚は行使しやすい反面で惑いやすくもあるから、この推進力に頼るなら地に打ち込むアンカーのようなものを駆使したほうが、安定感を持って活動を続けやすいと思う。記録を付けることはたいした労力ではないから続けているけれど、創作がなんらかの理由で行き詰まった場合なんかに、これをうまく解釈して活動に役立てることができたらいいな。このSimplenoteはEvernoteよりずっと単純に使え、パソコンとスマホで勝手にテキストを同期してくれるところが気に入ってる。

2021年3月1日(月)

トレイに種を蒔いた。このあたりで遅霜の心配がなくなる春の大型連休までには、植え付けるのにいい感じの苗が育っている……といいのだけれど。年末からの二ヶ月間は体重が一向に減らないなーと思いながらもダイエットしているつもりだった。思うに、正月あたりから食事の単調さに飽きていたんだろう。自分では我慢をしているつもりでも、実際のところは食事制限になっていなかったってことだ。空腹に慣れるためのてこ入れというか気分の引き締めをしていこうな。そしてやはり、食事に飽きてくるとたがは緩みやすいから、面倒でもバリエーションをつけるべきなのかもしれない。

2021年2月28日(日)

中華料理店のメニューを電話予約で持ち帰り、家族の晩ごはんとした。お店の料理を持ち帰るのは伝染病が蔓延してから初めてのこと。餃子とエビチリがおいしかった。finalventさんが以前にTwitterでおっしゃっていた、頭を好調に使える時間は有限で、それは関係ないことへの関心で消費されやすいからそのへん自己管理が重要、という話はその通りだなあと思う。自分には余裕こいて関係ないことで消費してしまう時間や意欲が多い。こういうことはやる気や集中力の話をするより、取りかかる環境からどうやって誘惑を減らすかといった流れへ持ち込むべきなんだろう。たぶん自分の読書もそういう話をした方がはかどるはず。図書館には勉強する人の姿がちらほら見られたけれど、できることなら空気の新鮮な場所で過ごしたい。そうした場所は探し続ければアンテナに引っかかるかもしれない。

2021年2月26日(金)

きつねのコヤンカは村いちばんの先端恐怖症でした。勢いよく生えるひげがもし目に入ったら、そう考えるだけで身がすくむため、伸びたそばから切断していました。初めのうちはそれで幸せに暮らしていたのですが、次第に自分たちの鋭角な耳、鼻づら、そしてしっぽが気になりだしました。続かない。

果物市場で文旦を見繕ったり、カメラ屋でストラップを見たり。手元のカメラストラップが駄目になったことを理由にピークデザインのコネクタ+アンカーリンクを手に入れたので、そこへ通したいストラップで手頃なものが置いてあるか、探しに来たのだった。革製のストラップは高いなーと思い、店内の品揃え豊富なマスキングテープの棚を漁る。なんというか誘導されやすい客だと自覚はあるけれど、カメラ屋へ来る客層とマステは相性が良いようにも思える。自分の知る限り、近隣で数が揃っているのはこことダイソーくらいだしね。それから、地元の方々による写真展が市役所で開かれているとのことだったから、ふらっと立ち寄った。特に展示室があったわけではなく、一階通路沿いの飲食ブースに作品が額装されてあるのをひとりぽつんと眺めて回る。フィルムのなまめかしさと透明感はいいものだ。ヒツジグサかなにかの水草が水面に浮かんだまま紅葉している写真は、水を写した暗さの中にすべての色彩が揃っていた。あれがいちばん印象に残ったなー。きょう唐突に降ってきた「きつねのコヤンカとおおかみのマズルカ」という完全にネーミングが先行したネタは、むやみに消費せず温めたほうがおいしいかも。ふたりはいつもなかよし及び凶悪さで知られる強盗グループ。たぶん。

2021年2月25日(木)

少々寒い日。枝が一本枯れてしまった小くちなしは、さらにもう一本の枝に付いた葉が黄色く萎れてきた。原因が分からなかったのだけれど、きょうよく見ると、枝の下のほうに膨らんだ箇所がある。すでに枯れた枝にも同じような特徴の膨らみを見つけた。もしかしたら、枝の中に虫が入って虫こぶをつくっているのかもしれない。そうだとすれば、枯れた枝と問題なさそうな枝との位置関係も説明が付く。そこで表土へオルトラン粒剤を目分量で小さじ1杯ほど撒き、根からの吸収が早まるよう霧吹きで粒剤を溶かしてから、軽く水をやった。仮に虫こぶだとするとなんの虫だろ。屋内なら冬場でも病虫害への注意は払ったほうがよさそうだ。もっと早く気付いてやれたらよかったな……。ともあれ、今後数日で葉になんらかの変化が現れることを期待してる。