昨晩はふたご座流星群を撮ってみようと思い立ち、カメラと三脚にあり合わせの道具を持って、田んぼが広がる真っ暗な農道へと出掛けていった。
かねてより流星が流れている空を比較明合成してみたかったから、今まで持ち腐れにしていたK-50のインターバル撮影機能を初めて活用することにした。パターンや向きを変えながら、露出5~15秒の星景を3秒間隔で100枚前後、まずは必要な操作を確認しながら撮る準備を進めていく。
ここで言ってしまうと星撮りというのはどうやら、待ちに入ってしまうまでは、ものすごく忙しい。抜かりなく機材の準備をしつつ当日の天気をチェックして、GPVなどで現地の状況を確認したら出発/待機の判断があり、いざ到着したら暗がりで静かに、しかし確実にカメラを組み立てて設定していく。星撮りは天気に加えて時間との勝負のように感じるし、趣向を凝らした人間の目論見が自然相手にどこまで上手く通用するだろうかという、ピタゴラスイッチ式ギャンブルのにおいも薄ら漂う。
話を戻すと、暗い空の構図を決めるのに随分ちんたらとしながら、ライブビューでの星の合焦には一層もたついて、最終的にはなんとかカメラが空を撮れる状態へと持っていくことが出来た。で、カメラに連射してもらう。ろくに車の通らない農道だから、ひたすらシャッター音が続く他は静かではあるし、前日に引き続いてその夜も雲一つない晴天で、天を仰げば星はしょっちゅう流れる。寒さに足踏みしながらラジオ深夜便を小さく流し、夢中で空を見ていた。
そして、寒かったな。晴れていたから空気は放射冷却でぐいぐいと冷えた。レンズに夜露が降りたらまずいから、使い捨てカイロは幾つか持参していたけれど、準備に時間を食ったせいでカメラ全体がとっくに外気に慣れ、ビギナーズラックで結露を回避してしまった。使い捨てカイロそのものはレンズに巻いても一向に発熱しない。こういった製品は性質上、それなりに狭く暖かい空間でないと中身が化学反応を継続してくれないみたいだ。
日付が変わる頃はたと照明を付けると、原付から三脚から動かずにいたものが皆、まっ白な霜で覆われていた。畳みかけるように道具を片付けて、いそいそと引き上げ。
そうして今になり昨日の日記を書いてる。撮った写真群のうちカシオペヤ座を向いていたものに、旅客機の軌跡と流星二個の映り込んでいるフレームがあり、今回はこれが一番の賑やかな収穫になりそうだ。試みにSiriusCompという比較明合成のフリーソフトで121枚を何も考えず合成してみると、日周運動と移動体それぞれの軌跡が一つの画像に収まった。感動はありつつ、星の動きが微妙にぶれている……たぶんミラーショックが原因のぶれだ。三脚を立てる際に抜かりがあったらしい。ステライメージなどの高性能なソフトウェアなら自動で補正する機能はあるだろうし、レタッチソフトを使って手作業で修正していくことも出来そうだ。ここから先はコンポジット合成等の画像処理の領域。うーん、面白さと改善点の両方を回収したなあ。
以下、星の比較明合成をまた行うとき気をつけたいこと。
- 三脚はしっかりと伸ばして、ぐらつかないよう確実に立てる
- レンズ用の結露防止ヒーターはいずれ用意した方がよかろう
- 防寒対策、特に指先の動きは確保するべし
- 諸操作の精度を高める&1ショットに時間を掛けることで星空写真の魔法が使えるようになるはず