2010年8月12日(木)

喉の調子がおかしかったので病院へ行ってきた。

朝の九時ごろ電話を入れると「大変混んでおりますが……」とのこと。この病院、木曜日は午前中しか診察を受け付けていないので、たぶんそのためだろう。少し急いで自転車を漕ぎ一時間弱、受付にはすでに28名の予約が入っていた。「診察の順番まで一時間以上待つ事になるから、病院外で待っていても構わない」という旨を言われ、冷房の効いた待合室を後に近場の河川敷運動場へ向かった。

自販機でお茶を買い、運動場の芝生に寝転がってぐうたらと過ごすことしばし。直射日光で焼けるように暑い。そのうち屋根の付いたベンチに移動したが、そばの切り株で20cmほどのきのこを見つけて写真に撮った。きのこ

るりまつり オニヤンマ

近くの川風のためだろう、日陰のベンチに心地よい風が吹いてきて過ごしやすい。ぼんやり見ていると、ランニングをしているおっちゃん、何かのトレーニングなのか後ろ向きで歩き続ける人、ゲートボールをしながら暑い暑いと騒いでいる一団など、晴天の日中でも河川敷を訪れる人々は割合多い様子。一時間ほど暇をつぶしたのち再び病院へ赴いた。

診察では医師の判断でレントゲンと採血、尿検査をすることとなった。少し大げさな気もしたが。診察の結果は「喉の粘膜が慢性的に荒れているようだ、煙草と冷房のせいだろう」ということで、レントゲン写真に妙な影でも映っていたらと気にしたのだが、一安心。気管支拡張剤と鎮痛・鎮咳薬を二週間分貰うことになった。尿と血液は少し日を置いてから結果が出るらしいので二週間後にまた病院だ。ちなみに待合室に血圧測定器があったので使ってみた。僕の最高血圧は116mmHg、最低血圧71mmHgだった。たぶん平均的な範囲だと思う。

帰り際に小雨がぱらついてきた。そういえば今日辺りに台風が東北地方へ上陸するはずなんだった、と思い出したが、さして降りそうでもないなと判断し、のんびりきこきこ漕ぎながら帰途についた。

2010年8月5日(木)

バラの剪定をしていて毛虫に刺された。

バラというかモッコウバラなのだが、この時期若い枝がびょんびょん伸びてくるので、それを生え際から切り詰めてやっていた。夕闇が迫った手元のよく見えない状況で、切り落とした枝葉の先が右手をかすめたその時だ。瞬間的に感電するような痛みを覚え、慌てて手を引っ込めた。

即座に見当を付けて探すと、体長1cmほどの若草色……とはあまり言えないケバい三つ叉の槍を持った毛虫が一匹、葉にしがみついていた。きのこじゃないがこれも子供の頃図鑑で見た事がある。凶悪な見た目で印象に残っている毛虫だ。こういうときの応急処置はと、直ちに患部を流水に晒して痛みが引くのを待ったが、やけど後をずきずきと刺すような痛みが増すばかり。とりあえず万能薬ムヒを塗ってWebで刺す毛虫を調べてみた。

どうやら僕が刺されたのはイラガという蛾の幼虫らしい。刺す毛虫3 イラガ/庭の刺す毛虫・刺さない毛虫 (社)農林水産技術情報協会というページによると、イラガのトゲは体内の毒腺につながっていて刺すと同時に相手に毒液を注射する、という。水で流しても無駄なわけだ。抗ヒスタミン含有のステロイド軟膏を塗るのが効果があるとのこと。よく分からないが多分、塩酸ジフェンヒドラミンが入っている軟膏ならなんでも良いんだろう。そのうちPVA配合とか言う軟膏を見つけ出してべっとりと塗り、寝ている間うっかり他に触れないよう絆創膏をばってん印に貼った。

それにしても酷く痛い。かゆみこそないが痛覚に直接訴えるいやらしい痛みだ。これを書いている今も親指の付け根はびりびりするし、今日はもう落ち着いて眠れそうにない。

2010年7月21日(水)

きのこ夕方、庭に出て涼んでいると、植え込みの奥にきのこが生えているのを見つけた。このきのこは図鑑で見た事があったはずだ。早速写真に撮ってきのこの本をめくった。が、見つからない。探し方が悪いのか、図鑑を始めから読んでみるも見当たらない。うーん。

よく思い出してみるとこのきのこ、毎年梅雨時になると庭の一角に生えている様子。傘の直径4cm弱、柄の長さ7~8cmほど。ねずみ色で根本につぼがある。

見た感じあまり興味をそそらないし、ぽつんと一本生えているだけだ。何かのついでに別のきのこ本を当たることにしよう。

犬小屋の周りをうろついていて今度は夕顔が咲きかけているのを見つけた。雑記を読み返すに今月四日買ってきて植えたもので、桃色夕顔とある。確かにそんな色だ。桃色夕顔他の群がって生えている朝顔と見分けが付いたのは、葉っぱの形が少し違ったため。手持ちの三脚を使ってつぼみが開ききるまで待ってみたかったが、我が家の犬がそわそわしていたのでやめておいた。

今日は非常に暑かったため、犬小屋にすだれを立てかけて日陰を増やす作業をしていたのだが、玉のような汗が出た。これからも暑い日が続くだろう。せめて犬がどろんこ遊びをしなければ、他に手立てもあるのだが。

2010年7月15日(木)

昨日に引き続いて地図をぺたぺた。

作りかけの地図2一度に扱う横幅が机の上では足りなくなったので、床で作業する。上の方で座っている黒いのはぬいぐるみのジジ(魔女の宅急便)。

新しく買ってきた両面テープをびしっと貼り、繋げていく。この辺はいつぞやの壁紙作りの反省が生かされている。前回の普通用紙から特厚の光沢紙に切り替えたとはいえ、沢山貼り合わせれば多少歪んでしまうのは、特に一度に長く貼れば必然だ。今回のは縦横4×4から4×5と長辺が増えていることだしね。

出来上がった地図 壁の地図頑張ること十数分。意外とあっけなく地図は出来上がった。縦幅およそ700mm、横幅ちょうど1400mm。ほぼ正方形二つ分だ。でかい。

縦幅は前回と同じだけれど、横はどうだか。壁紙としていざ貼ってみたところ、ぎりぎりだった。「まあ収まるだろう」とアタリを付けて作り始めた地図だったが、具合良く壁に収まってくれたのはなんとも嬉しい。実作業時間が数時間ちょいにしてはなかなかの満足感だ。しばらくこの壁紙で行こう。

あ。今気付いたけれど、この写真はInfoの項目にぴったりだ。地図と帽子とぬいぐるみ。

2010年7月14日(水)

ふと「新しい地図が欲しい」と思い、行動に移した。今回利用したのはDEMIS Web Mapという、昔からある一部有料なマップデータベースの一つ。

「今回」というのは、過去幾度もデジタルの地図をプリントアウトして壁に貼り付けていたからだ。海外の大学図書館のWebサイトには、地図フェチ(収集家と言うほどではない)がいかにも喜びそうな蔵書というかファイルがたくさんある。今回の地図サイトもそれらを漁っている過程で見つけたもの。

で、暫しのち。

出来上がりましたる世界地図。これである。世界地図これは縮小してあるからこのサイズなのであって、実際は7500×3600のBMPファイル80MBをPNGになおしたものだ。ライセンスに抵触するかも知れないので大きいファイルは載せていない。半年前の僕のパソコンではメモリが足りなくて弄れなかった。

さて。ここからだ、制作に取り組むのは。

制作といっても16枚+4枚の地図を写真用光沢紙に印刷し切って貼り合わせるだけなのだが、これが結構な作業だ。なにせ事前にプリンタを微調整せねばならないし、A4紙で20+αという枚数ではインクも飛ぶ。そして事は運び、早い時から予想していた事態、両面テープがなくなってしまった。作りかけの地図スティックのりや接着剤は比較して湿度変化に弱い為、壁紙にすると接着面がその日の天気でたわんだりする。ここは即断と実績の両面テープが必要なのに……今日はここで中断。あとできちんとしたテープを買ってこよう。

ところで20枚というのは、(おそらく)ミラー図法である上記のマップを緯度45度・経度90度ごとに刻んで出来た4×5枚の分割地図のことだ。以前にも似たようなのを作ったことがあり、そのときは4×4のグリニッジ標準時を中心線にした為に太平洋が真ん中で途切れてしまった。そういう日付変更線はあまり美しくない。いや、実際のそれも全く美しくないものなのだが。それで今回は三大洋を収めるべく、大西洋を中心に西へ4枚90度足したというわけだ。上の画像二つで区切りが違うのは、太平洋をうまく収めたかったが為の苦し紛れの変更。

上の地図サービスでは両極域から見下ろした半球は弄れない。今この部屋の壁にはそれがあるのだが、A42枚と大きくもないので少し悶々としている。こういうとき定番の各種サービスは多分、探せばいくらでもあるのだろうが、何だかくたびれた。今のところは手元の二軸回転式の南極が見下ろせる地球儀で我慢するとしよう。

2010年7月8日(木)

蛇口から水ひと掬い浴びる夏
何の捻りもない句だが、今日はこの言葉そのままだったもので。

紫陽花そのいち 水辺の紫陽花青空にそそのかされ、本日は市街地近隣にある城跡の公園で昼食をとることにした。自転車を漕ぐことおよそ一時間、帽子以外に遮るもののない日光がじりじりと身体を焦がす。公園へ至るまでの道のりで紫陽花がそこかしこで咲いていた。

途中のコンビニで弁当とお茶を買う。たまに立ち寄るこのコンビニの入り口には燕が巣を作っていたのだが、今日改めて見るとすでに巣立ったのか一羽もいなくなっていた。

ところで、この町中心部のシンボル「金灯籠」と呼ばれる史跡が年明けから工事のためどこかに移動されており、今日の散策でようやくその移動先を見つけた。一緒にあった涼しげな一坪庭は失われ、砂利敷きの人目に付かない場所に鎮座在していた。悲しいので写真は撮らない。

公園目的地の公園、通称お城山に着いたところで三十名ほどの小学生とすれ違った。昼ご飯でも食べに来たんだろうかとぼんやり考えながら木陰のある所へ移動する。シルバー人材の方やらランニングトレーニングをしている男性やら、平日の真昼間でもよく人とすれ違って「暑いですね」と声を掛けられた。買ってきたお茶をあっという間に飲み干して後悔した。暑すぎるのだ。自転車漕ぎで汗をかき、息切れもしていた事だし。紫陽花そのさん傍らの紫陽花を見て涼みつつ昼食。食後に公園内をぐるりと一周、ぶらぶらと歩き回る。写真を撮っていてこんな木を見つけた。木の実桑ではないしモミジイチゴでもない。何という名前だったのかなあ……食べると甘いが、口の中がいがいがする感じの木の実。誰かご存じでしたらご一報を。

駄菓子屋のラムネ帰り道、と言っても公園を出て川を渡ったところの交差点で、駄菓子屋を見つける。来る時に気がつかなかったのは来た向きが逆だったからだろう。店に入り、瓶のラムネ八十円こんにゃくゼリー十円を二つ、しめて百円。表のベンチに腰掛けて先ほどのお茶の不足を補うように飲む。昼過ぎだからとにかく暑い。店先に何か足りないと思ったのはガチャガチャ(というのだったか)が置いてなかったからだろう。近くの小学校の隣にある駄菓子屋は五年ほど前に潰れたはずで、あそこから一番近い駄菓子屋がここになるのかと思うと少し悲しかったり、嬉しかったり。長居もいけないかなと、区切りの良いところで店を出て帰途についた。

自宅の庭の水道で火照った手足を冷やすことしばし、日記の頭に書いた句はそのとき思いついたもの。帰ってきてからふと、ポラを持って行ったのに今日は一度も使わなかったことを思い出した。そのうちまたどこかへ出掛けるだろう、そうしたら存分に撮ってやろう。今日は疲れたのでここでおしまい。

2010年7月6日(火)

Karl Blossfeldtこれは『植物を撮り続けた寡黙の写真家、カール・ブロスフェルト』自身の写真。

ちょっと言うと、「前髪焦げた」の前にもWebサイトを立ち上げ、投げ出していた。そっちでとある古本を購入した事を書いたところ、検索エンジンからその記事の単語目当てに飛んできたらしい人がいて、詳しく書いたわけでもないのにと後悔した記憶がある。後で調べたところ、その本が結構な稀書だと分かった。「Karl Blossfeldt 写真」という、百ページ足らずの割合薄いモノクロハードカバーの写真集。With atext by Rolf Sachsse、ベネディクト・タッシェン出版(Benedict Taschen)とあるのはドイツが本家の美術本らしい。昔の記憶では、この本の写真を丸ごと含めた大型の美術本「不思議の園」や「芸術の原型」というのがあったはずだが、それらの値段が万単位であったことと僕は美術本の蒐集家ではないのとで(写真だけならばGoogleイメージ検索でいくらでも出てくる)、この写真集の紹介を誰にともなく書き留めておく。

表紙以下の文章は、上記のロルフ・ザクセという人物による10ページにもわたるブロスフェルトの業績についての端的な抜粋。

彼は植物を撮影した。それも、何千枚も。彼の写真にはほとんどいつも、花やつぼみや二股に分かれた茎、あるいは花軸の先頭に放射状に花が咲く散形花序や種嚢が真横から撮られている。真上からのは少なく斜めからとらえたのはさらに少ない。また、ほとんどいつもその背景は白か灰色の厚紙で、たまに黒の厚紙を背景に撮影していることもある。奥行きが感じられる背景は非常にまれである。撮影時の照明は北側からの窓から差し込む光で、拡散性だが、対象を一方向からのみ照らすため、それが立体感を出す効果をあげている。撮影技術と処理条件は非常に単純である。彼はミドルサイズのネガだけを使って平均以上のできばえの写真をものにした。意識を対象そのものに集中して、はずすことがなかったからである。30年以上もの間この男はそんな写真を撮り続けた。仕事、そう、植物の撮影は仕事以外の何者でもなかった。……

写真技術の課題画像の裏表紙にも書かれているが、5ページ目の主張ははっきりしている。『カール・ブロスフェルトがわれわれに伝えたかったことの基本はただ一つ、工業デザインにおける理想の構築美はすでに自然が先取りしているということであった。』自然に倣うこと 具象の追求悲しいかな僕には英語の細かい文脈を汲み取れないのだが、それでもこの本の主張はシンプルで強烈で分かり易い。どの植物も花弁や葉を摘み取られたり、時には恣意的に並べられたりして、無機質な雰囲気を醸し出している。モノクロであることがより一層無機質さを引き立てていて、はてこれは植物なのだろうかと感じさせる。そして美しい。

実を言うと、この本を手に入れたのは京都市内のブックオフの片隅で、それも五百円という「誰か買うだろうか」的価格設定だった。だから、この本を入手しようと思ってもどこへ行けば置いてあるのか、僕にはちと分からない。上の方で挙げた「不思議の園」と「芸術の原型」について言えば、ググるなり、建築・美術本に強い書店をあたれば見つかるだろう。あとはネットの気儘さに任せて、この辺で。

2010年7月4日(日)

夜の紫陽花と横切る猫昨日の夜、近所の沢の蛍を見に行ったついでの紫陽花公園にて。猫に三度も目の前を横切られた。

このところ睡眠の周期がずれている様子だ。僕は大抵夜九時ごろには寝て、朝四時前に起きる習慣にしている。これでは大変だ、目覚し時計を探してこなければ。

昼前に友人が慌ただしくやって来た。先日僕の部屋を訪れた際に財布を忘れたと言う。慌てて探すと本棚の陰、紙袋の下敷きとなっていた。庭に銀マットを敷き寝転がりつつ煙草を吸っていたのを見られ、大いに笑われた。仕返しにポラで顔を撮ってやったのでおあいこだ。

正午のサイレンが鳴る頃、母の叔父からお中元の桜桃が、続いてAmazonで頼んでおいたペンタックスのレンズが届いた。

この写真は初めて弄る広角レンズ「PENTAX smc PENTAX-DA 15mm F4ED AL Limited」の試し撮り。桜桃

今まで持っていたデジ一のレンズは「PENTAX smc PENTAX-D FA 50mm MACRO」と標準ズームレンズ「PENTAX smc PENTAX-DA 18-55mm AL II」の二つ。これらを使い続けて二年、ようやく「こういうレンズがあれば撮れる写真の幅が広がるんだろうなあ」と思えるようになって初めての自分で選んだレンズだ。頑張って使いこなしたい。

激しい通り雨が屋根をたたいた昼下がりに買い物へ出掛けた。目当ては部屋着にしたいと思っていた甚平と、前々から祖父に植えろと言われたオクラの苗。甚平は二件、オクラは三件回ってようやく見つかった。オクラのついでに色々と苗を買う。モロヘイヤ、桃色夕顔、ミニトマト、それから「ペピーノ」というナスの仲間らしい不思議な野菜。これは熟した実が「メロンと洋なしを足して割ったような不思議な甘さを持つ」というのでそのコピーに惹かれて買ってしまった。割と最近広まった品種なのだろう、うちのどの園芸本にも載っていない。育て方が詳しく分からないが、まあナスの仲間なのだからそのまま育ててみよう……。そういえば庭ではすでにトマトが大きく青い実を実らせていたっけ。ただ妙に背丈が低い。肥えたところに植えたのだがなあ。どうしたものだろうか。

夕暮れになって蜩が鳴き始めた。今年は今日がはじめてだ。この辺りでは先月二十七日に初めて鳴き始めた蝉だが、もう蜩が出てきているのかと驚いた。蜩は午前四時少し前にも一斉に鳴き始める習性がある。そうか、やはり目覚ましか。

2010年7月1日(木)

友人らは丸二日のあいだ、僕の部屋でうだうだしつつ帰って行った。

その後、堅気でなくなった友人との共通の知り合いに連絡を取った。例のその人が姿を消した二ヶ月間の経過報告だ。彼女と僕とはネットを挟んでのやり取りだけだが、まあ何と言うのか、あんな奴だけれど見守ってやって欲しい、そういった事を頼まれた。もちろん頼まれてする事ではないからと、そう考えて返事は適当にしておいた。大丈夫、気にする事でもない。

話変わって多分、この土日あたりに僕は新しいデジ一のレンズを手に入れるだろう。ペンタックスの「PENTAX-DA15mmF4ED AL Limited」だ。今年の春先からこのレンズを買うための貯金をしてきて、今月になり手に入るだけの額が貯まった。

正直言って、僕はカメラ内部の詳しい仕組みを殆ど知らない。絞りと言われるものについては知人からアドバイスを受けたのだが、からっきしだ。多分、技術者であった父の才能を受け継がれなかったのだろう。何かしら壊す事は得意なのだが。

そんな僕が何故かポラロイドカメラ「SX-70」を持っていて、おまけに未だしっかりと感応する600高感度フィルムを7パックと9枚も保存している。不思議な話だ。フィルムは友人たちが来る前の掃除で、書類放り込み置き場の下から出てきた。物は試しと一枚だけ撮ってみたところ、きちんと写ったのだ。このカメラ自体の製造年月日は30年以上前のモノで、慣れないヤフオクで落とした記憶がある。そしてSX-70を弄りはじめて二年後にフィルムの生産が終了し、一つの時代が終わった。今現在このフィルムに互換する品が出回っているのかどうかは分からないが、まだ僕のポラが動く、写真が撮れる、そう思えるから嬉しい。今までに撮った写真はスキャンしてからアルバムにしまってある。気が向いたときこのサイトにこっそり置いておこう。

2010年6月28日(月)

病院の帰り。三車線を左から中央、右にがーっと跨ぎ、その勢いで矢印信号を右折していった車がいた。

明日の夜は友人らが訪ねてくる為、帰り道がてらスーパーで酒とつまみを買う。誰か一人が運転係の羽目になるので今流行りらしいノンアルコール・ビールを二本かごに入れた。僕はビールが嫌いなのだが。

その友人の一人はつい先週まで、新宿だかその辺の拘置所だか留置所に入っていた男である。この春上京し、すぐにスリをやって起訴され、結果執行猶予三年と相成った。人の財布を盗むくらいならと、色々諭すというか説教してやりたかったのだが、すでに処分が出、帰ってきてしまった事だ。大体彼はあまり他人の忠言に耳を貸さない。

丸二ヶ月見ないうちに身体堅くなったな、何だか引き締まっているな、と言ったら「二十日間、房でずっと筋トレやってたから」と答えた。ヤクザや詐欺師グループや、およそ堅気でない輩と共に二十日間を過ごし「強制送還された」そうだ。彼の手短な話では、激しい右の方々の一人がいともあっさりと看守に見送られ房を出て行った、というのだが、ここではその件について深く触れない。慌ただしく「来週の火曜にTとまた来ていいか」という旨を言い残し帰った。一昨日の事だ。

帰り道、家に着く直前になって激しく雨が降り出した。アスファルトの埃っぽい匂い、カブトやクワガタなんかの飼育かごのにおい、真新しい篠竹簾の匂い、いろんな匂いが熱気と共に感じられて嬉しかった。梅雨を越せばじき、夏だ。