2020年8月20日(木)

『ミツバチのささやき』観た。クラフト・エヴィング商會『アナ・トレントの鞄』に頻出するので気になってた映画。始めのほうで母親が手紙にしたためていた「人生を本当に感じる力」って、現実と幻想のあわいを行き来するアナの(子供の)感じ方のことかも知れない。なんかみっしりしたものが水面下で静かに圧迫感を持っているような、ほのかな不穏さもあったように思う。見終えてからDVDのパンフレットやあらすじを読むと、舞台となる40年代のスペインでは内戦が終わり独裁が始まっていたそうだから、そうした当時の情勢を反映しているのかも。映画の中の映画としてフランケンシュタインがでてくるのだけれど、僕はそちらを履修してはいなかった。いずれ視聴できたら。ラスト近くなり、連れ戻されたアナを診た医者が「(ショックを受けたことは)少しずつ忘れていくよ。大切なのはあの子は生きてるってことだ」と母親に言うのだけれど、最後の場面でアナは月の光の下、精霊と話をしようとしており、それはアナがなんらかの価値観に抗うかのように見えた。『アナ・トレントの鞄』で触れられていた(たぶん有名な)少女二人が線路の上にいる場面を見ることができてよかった。

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