2019年7月15日(月)

ふるさと民話の会が語る、地元/全国に伝わる民話を聴きに行った。うん、いいんじゃない。一時間ほどの口演で、寛いだために途中で眠気が来てしまったのだけれど、上手い具合に手足を動かす機会が設けられていて助かった。へー、うちの菩提寺は意外と歴史があるのか。

虫の音が次第に途切れていくのが感じられました。

メルツェルはまだ暗いうちに目を覚ますと、しばらく物陰を眺めて闇に目を慣らしてから、ハンモックを降りて戸外へ歩いていきました。

川はぴちゃぴちゃと弛みなく流れ、そのおもてに天空のもうひとつの河を映して輝いていました。でも、東の空の端はうっすらと光を帯び、小さな星たちはいとまの支度を始めていたのです。

彼女はまっすぐに腰の辺りまで河に入っていって、生ぬるい黒い水をざばざばと浴び始めました。

わずかな川風がそよぐ岸辺には、やはり涼を求めてきた人々が腰掛けたり、水をすくって身体にかけたりして、それぞれのやり方で一日の最も快適な時間を過ごしているのでした。

流れに体温を逃がしている彼女の前を、小舟が暗がりから滑り出して港を目指し下っていったかと思うと、積み荷を乗せた商船が川面を水車で掻き回しながら遡上していきました。

すっかりその温度に慣れてしまうと、メルツェルは水から上がってシャツの裾を二、三度絞り、再び眠るために宿へ戻っていきました。

そうして、人や物音の気配が川べりにゆったり漂い始めたころ、空は暁を控えて色彩を取り戻し、もうひとつの河は再び訪れる夜へと向かって、静かにその姿を眩ませていくのでした。

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