2019年12月1日(日)

産直目当てで道の駅三箇所を回る。川岸の堤防を行く道すがら、そこに繋がる私道の途中に後輪が脱輪&スタックした車を押している人たちがいた。いったん通り過ぎてから状況を飲み込んで原付を止め、押すのを手伝う。一斉に力を込めると、左後輪の下に敷いた板きれとタイヤの摩擦で白煙が上がり、車は堤防のあぜ道へ「のっし」という感じで復帰した。道の駅がすぐそこだったから原付にまたがると、笑顔のおばあちゃんが駆け寄ってきて、お礼を言いながら荷かごに千円札をねじ込んでくれた。僕が近寄ったとき「車屋呼ぶしかないよ」みたいな話が聞こえたのと、戻した際にその場の皆から歓声が上がったので、きちんと役に立てた対価として受け取れて、結果的によかったのではなかろうか。なお、うちへ帰る前に立ち寄ったスーパーはレジ前が混雑しており、並ぶ僕の後ろで「ここ並んでるんですが」「えっ、俺も並んでるよ」というやりとりが少々交わされ、僕は列の作り方が悪かったかもなと内心ぎゅっとしていた。世の中はこんなふうにしてバランスが取れている。

ぽつねんと思うこととして、先の即位礼正殿の儀の会場は香り豊かだったのではないだろうか。儀に用いられた衣類も、それに色彩を与えた染料も、古い時代の伝統を踏襲して全て天然素材だという記事を読んだ記憶がある。それなら、布を染め上げた色から木や草の匂い、香辛料の香りも漂うかもしれない。儀は映像で覗った以上に、様々な香りがしていたのかもと思う。そもそも昔の生活空間のにおいってどんなだろ。祖父宅の縁側や座敷のそれだろうか。

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