2011年4月23日(土) 3.11の地震(東日本大震災)で綻んでしまった那須篠原玉藻稲荷神社

貫が落ちた 滑り崩れた石段二十日、久しぶりに玉藻稲荷神社へ行ってきた。この辺りの桜も散り始める頃だからと、油揚と桜酒を持って出掛けてきたのだが、稲荷神社の様子は割合酷かった。社殿と狐塚、創建八百周年記念の朱の鳥居は何ともなかったが、あの地震で石の鳥居は貫(下の横棒)が落ち砕けていて、誰かが除けたのか柱の脇に並んでいた。石段は地面ごと滑ったかのように、や、その通りに崩れて石組みが緩んでいた。

倒れてしまった右のお狐様一番酷かったのは右のお狐様だ。お狐様が乗っていた何枚かの石と碑がまるごと倒れ、お狐様そのものは境内の端っこにちょこんと立っている有様だった。左のお狐様は何ともなかった様子。境内へ至る石段も右側の方が崩れ方は酷かったから、もともとその辺りの地面が柔だった事もあるのだろう。けれど、この近辺は3.11の三度の大揺れで最大震度六強を観測していたそうだ。すらりと背の高く立派にたたずんでいたあの両像が、片方だけでも無事なことに感謝するしかない。社殿に油揚を三切れお供えして、お賽銭と二礼二拍一礼。

水の抜けた鏡が池玉藻の前が正体を見破られ、矢で射貫かれたときの伝承の池、鏡が池も地震の影響を被っているらしかった。水がすっかり抜けて涸れていたのだ。この池は湧水池で、稲荷の手前の水芭蕉の原へそろそろと水を供給している、筈だった。地面の下の構造が違ってしまったのだろうか。湿地そのものはちょいと踏み込んでみると水が染み出してきたから、それらが枯れる事はすぐにはないだろう……けれど。

鳥居と狐塚祠狐塚の手前の鳥居は笠木も貫も倒れて、両の柱だけが立っていた。危険と書かれたテープが張ってあったが、ここまで酒を持ってきておいて帰るのも申し訳ないので、失礼しますと心で呟いてお供えをした。桜の花びらを閉じ込めたお酒だ。玉藻の前はもしかしたらちょっと苦手かもしれないな、なんて苦笑いしつつ。

石段の下、スタンプラリーの看板の前でざっと周囲を眺めてみて、これは当分元には戻らないだろうな、と思った。八百年以上存えていれば色々あっただろうが、今回の地震だってそれらに勝るとも劣らぬ天災だ。近所の氏子の方々が頑張ってくれる事を願うばかり。

ミズバショウ参道を戻って駐車場へ歩いて行くとき、砂利敷きの道のあちこちに桜の花びらがちらほらと落ちている事に気がついた。山桜だろうか。辺りをきょろきょろ見回してみても桜の木なんて無かったし、一体どこから舞い散ってきたんだろう。来たときは気付かなかったが、まさか、ね。

田園と桜在りし日の稲荷神社の事はこの「前髪焦げた」で少し書いたし、ある方がPicasaウェブアルバムに沢山写真をアップして下さっているので(リンク)、かつての玉藻稲荷に興味のある方は是非ご覧なって欲しい。それと、帰り道でのおまけ写真。田に水が入った。もう代?きの季節だ。

2011年4月22日(金)

いろいろ思うことはあるが、考えるまでには至らない。葉桜が美しい。葉桜は何を待つのか。

病院の帰り道。本屋さんとジャンク屋へ立ち寄り、めぼしいものを物色する。本屋さんでは、魔方陣グルグルを描いていた人のその外伝「舞勇伝キタキタ」一~四巻と、「世界の終わりと夜明け前」という漫画を購入。後者は表紙買い。最近は本当に考える事をしないから、文庫本やハードカバー、専門書籍の棚には近寄らぬまま、会計を済ませた。ジャンク屋では9x系のWindowsが動きそうな筐体を探すが見つからない。ふと視界に入ったメトロノームをこっそりかちかちと揺らしてみて、少しだけ欲しくなる。必要の無いもの、必要とされるつもりの無いもの。僕はそういうものに愛おしさを感じる。ただ、これが今である必要もない。だいたい君は少々無骨だったから。

原付にガソリンを入れたのち喫茶店へ。アレンジコーヒーを飲みつつ煙草でぼんやり。サービスとはなんだろうかなどと下らない事に思考を巡らせる。たぶん対価を支払う値打ちのある空間や環境の提供といったものがそうなんだろうと結論づけて、花曇りな窓の向こう、交差点の往来を眺めていた。いつでもどこでも僕は、煙草を二本か五本吸ったらその場を立ち去る事にしていて、今日は五本潰した。お気に入りのライターを二つとも修理に出していたので百円ライターを使ったが、どうも気に入らない。据え置きの灰皿は底が若干浮いていて、灰を落とす度にことりと動いた。くつろぎながら静かに周りの物音を聞くのが好きなのだが、自分が音を立てるのはさして心地よいものではない。大して気分を害したわけでもない。百円玉五枚分のサービスを程よく味わったつもりになったところで店を出、帰途へ着いた。

家の郵便箱を覗くと先日Amazonの古本市場で買った「ネクロマンサー」と言う漫画の最終刊が届いていた。いつぞやここで書いた「できそこないの物語」。シリウスコミックスつながりでちらりとクロスオーバーするシーンがあり、孫引き感覚で買ったのだが、最終話を読んでこの漫画は少なくともはずれではなかったかなと思った。「本は出会い頭の妙」と言ったのは誰だったか。

休題。

Twitterとよく似た国産のショートメッセージSNS、Wassrを利用するようになってもうすぐ一年が経つ。SNSは何でもそうだがWassrというのは特に、共感と共有、繋がりを強調されたサービスだと感じる。簡単にレスを付けられる事、レスの代わりに「イイネ!」という意志表現の機能がある事が大きいのだろう。ツールの使い方なんて人のそれぞれで良い。けれど、一昔前のほめぱげ管理人がアクセスカウンタに一喜一憂していたのと同じ感覚で、僕はWassrへPostするときWassr受けが良いかどうかという事をいくらかでも考えたりしている。そういうのは多少疲れるし、楽しい時もある。きっと、さらりと日々の断片を屈託なくPost出来たなら。でもそれは、ネットと日常の関係が逆であって。

休むに似たりな思考の断片ってのは書いていても面白くはないし、読まれないものだ。TwitterもWassrもヱニスの名前で登録してある。貴方が気になったなら、そのときは、左のメニューからよろしくどうぞ。

そうそう。最近この前髪焦げたの更新の頻度が落ちているのは、わっさーとついったへぽつぽつ投稿しているから。先週は土手の野蒜を掘り出して食べたり、夜桜を見たりしていた。特に読まれるようなものでもないし、今日はこの辺でネタの断片を投下して、寝よう。

旅立ちのあとで
なあ……お前は村に残っても良かったんだぞ?
ぼくの背中の上でともだちが呟いた。なんだか自信のない声。おとつい村を出たときから、ずっとこんな調子。
どうしてお前はこんな俺の気まぐれに付き合ってくれるんだろうな。
どうしてって? 走るのは気持ちがいいし、眺めもいろいろ変わって飽きないからさ。ぼくはそう答えて緑いっぱいの川べりを大またのギャロップで駈けぬける。草むらを流れる風と、真上からふってくるお日さまの光。こんなにさわやかで気持ちがいいのにね。
そうだな。俺の旅には何の宛もないのに。
でも、とっても楽しいよ。それに、ともだちがともだちらしくないのはなんかヘン。元気だそうよ。どんどん濃くなるまわりの景色にあわせてぼくはさっきよりも力強く地面をけった。背中のともだちが格好をくずして、あわてた様子でぼくのくびすじにつかまる。
何だよ、今日はやけに張り切ってるじゃんか……全く、お前の言葉が分かれば本当に良いのにな。
ぼくは分かるよ。まだ知らないずっと遠くへ行くんだよね。しっかりつかまってて!

2011年4月11日(月)

あれから一ヶ月か。震災の少し前に予定していた縮毛矯正と髪のカットを先の土曜に済ませてきた。ひと月も放っておいたのはだらしがないが、ま、仕方がない。見た感じ相当こざっぱりしたと思う。これで心置きなく夜桜を観に行ける……もう幾日か先の話だけれど。

金曜の朝から今使っているパソコンのOS、Windows7 UltimateへServicePack1をインストールする作業に明け暮れていた。幾つかのエラーや障害などがあってアップデートは全く進まず、試行錯誤とぐぐる様のおかげで四日目にしてようやくサービスパックの導入に成功。以下、僕が導入成功までに行った手順を簡潔にまとめておく。これはSP1適用作業中のレジストリに関する致命的なエラーC000009Aや、不明なエラーコードWindowsUpdate_8024200d、0x8024200dなどのエラーを「既に吐かれた人向け」に、何かの手がかりになるかもしれないと思って書くもの。

Windows 7 Ultimate x64(64bit)無印版へServicePack1をインストール成功するまで。

  • インターネット一時ファイル(キャッシュ)を一度削除する。
  • コントロールパネルから「システムの回復(復元)」を開き、コンソールに従って、サービスパックの導入に失敗した以前の日付の復元ポイントでシステムを復元する。
    • エラーコードC000009Aはレジストリへ書き込んでいる最中のエラー。僕はレジストリのバックアップなんてしていなかったので、割と時間はかかるが確実な方法にした。
  • コントロールパネルから「地域と言語」を開き、「言語のインストールまたはアンインストール」から「表示言語のアンインストール」でシステム言語以外の全ての言語パックを削除する。
    • おそらく20以上の言語パックがインストールされているはず(僕のはそうだった)。一度にまとめて削除すると再起動の時、C000009Aエラーが出て振り出しに戻ってしまう。システムの回復で削除したものが修復されてしまい、余計手間と時間がかかる。面倒でも確実に、3~4回に分けて削除すると良いと思う。
  • 完全なチェックディスクを行う。
    • システムディレクトリのあるドライブ(通常はC:)を右クリック、「プロパティ」から「ツール」、「エラーチェック」。チェックディスクのオプション「不良セクターをスキャンし、回復する」にもチェックを入れ、開始。ダイアログが出るので「ディスク検査のスケジュール」を押し、再起動。チェックは二時間程かかるよ。
  • セキュリティ・ウィルス対策ソフトを一時的にアンインストールする。
    • 僕が導入していたソフトはMcAfeeのもの。コントロールパネルから「プログラムと機能」を開き、使用している対策ソフトをアンインストール。こういうのはメールアドレスやパスワード、シリアルキーをメモしておけば後でまたWeb上から本体をダウンロードできるので、さして心配はいらない。
  • パソコンをセーフモードで再起動し、ダウンロードしておいたシステム更新準備ツールKB947821(Windows6.1-KB947821-v10-x64.msu)を実行する。
    • セーフモードを立ち上げるには、再起動直後の画面でF8キーを何度か押すこと。選択画面が出るのでそれを選びエンターキーを押す。準備ツールKB947821のインストール作業は1~2時間ほど。これが無事済めばそのままSP1だ。
  • ダウンロードしておいたWindows 7 および Windows Server 2008 R2 Service Pack 1 KB976932(windows6.1-KB976932-X64.exe)を実行する。
    • 一時間掛かるか掛からないか、ってとこ。再起動を求められるのでその通りに。通常ログインの前にシステムの準備で数十分待たされるが、ここまで来ればそんなものあっという間だ。成功したらスタートメニューの「コンピュータ」を右クリックして「プロパティ」を開き、Windows Editionの下に「Service Pack 1」と表示があるか確かめる。あれば、これで一段落。
  • ……する前に、削除したセキュリティ対策ソフトをインストールし直さなきゃね。おしまい。

休題。

カタクリの花先週の水曜日の朝、那珂川町のカタクリ山公園へ行ってきた。数日前に母が、今日ラスクを買いに行くついでに那須街道をぶらついてくるという話をしていた僕に、あんたと祖母をつれて片栗の花を見に行きたいのだが見頃はいつか調べて欲しい、と言うので幾つかのブログを漁った次第。過去のブログでは四月の11~13日辺りでは既に満開やや見頃を過ぎている、との事だった。祖母が早く見に行きたいといった事もあり、水曜日の早朝にカタクリ山公園へ向かった。

カタクリ山公園の駐車場はふきのとう畑の隣にあった。平日だからだろうか駐車場はがら空きで、去年や一昨年の満員御礼・駐車料金のお支払いも無かった。水芭蕉や一輪草は咲いてはいるが、まだこれからだという話をテントで談笑しているおっさんらに聞く。

小高い山を登っていくと木道があり、そこから一面にカタクリが咲いていた。ただばらつきがあり、まだ十時頃だというのに花がすっかり反り返ってしまっているものや、つぼみのままでいるものなど……全体的に見て八分咲きってところだろうか、今年の4/6の時点では。

それでも見に来る方々は比較的おり、夫婦してバズーカみたいなレンズ越しにごついカメラを覗いている人たちもいた。祖母が歩き疲れたというので斜面一面に花が咲いているところで写真を撮り、山を下りた。僕は水芭蕉も見たかったのだが、それなら地元に玉藻稲荷神社があるから、いつでも見に行けるしね。

帰りに那珂川町の道の駅ばとうへ立ち寄った。ここはトイレが実に綺麗なところだ。ランクで言えば上の中をつけたい道の駅。ちなみに道の駅・与一の郷おおたわらは並の上だ。道の駅ばとうで直売の農産品や惣菜を物色している間、とちおとめがよく売れていった。原子力発電所に関する風評はどうなのだろうと思って直売所をうろついていたが、みな気にせずに旬の野菜を買っていく。なあんだ、という感じで僕は程よく安心した。ま、先だって雨の降る中傘さして髪を切りに行ったりあちこちうろついていたのだから、普段見えないものを気にするたちではないのだが。

売店で桜もちや温泉パンなどを買い、外のベンチで三人してかしわ餅を食べ、一息ついて帰ってきた。風のない穏やかな日だったなあ。桜もちは桜酒と一緒にCD棚のお稲荷様に供えてある。

東京電力は当面の計画停電を実施しないと発表したし、おかげでパソコンを弄る暇も出来た。僕は僕の日常へ帰っていく、それでいい。震災から一ヶ月。いま、と打ったら午後2時47分、と変換が出た。少し瞑って、また歩きだそう。