2020年3月26日(木)

クローゼットの収納に手をつけ始めた。ボール箱をもう少し高く積めるようにして、使わないものを効率よく仕舞い込もう。祖父が置いていった電動ドリルで樫のほだ木に穴を開け、クリタケの菌駒を打とうとしたところ、一本全部に穴を開けたところでドリルからビットが外れ、木の幹深くに潜り込んでしまった。あー、僕はこういうへまをするやつだったか……。祖父が使っていた菌駒用の木工ビットは根本が丸軸という形状をしていて、これだといくら噛み合わせをきつくしても負荷が掛かれば外れるよねえ、なんて訝しんでいた矢先だった。ホームセンターで六角軸の菌駒用ビットを買ってきた。これなら外れることはないはず。一度は埋まった刃を取り出そうとほだ木をのこぎりで切り出したのだけれど、二度目でもういいよ、という気分になった。樫の木はほんとに堅い。夕暮れの空は淡く限りない階調の中に緑の領域を宿していた。三月の日没には繊細な緑色が出ることがあり、今日がそういう日だったみたいだ。自然や気象を相手にするのはいいかもね、と思う。

2020年3月25日(水)

スムージーは意外と簡単に作れるんだね。豆乳(または牛乳)とバナナをベースに組み合わせることで、大抵の野菜はおいしく飲めそう。そしてびっくりする、お腹にみっしり来るというか溜まるというか。朝はこういうので済ませるのもありだと思った。ほうれん草と冷凍バナナがもりもり消費されていく。

オンラインやディスプレイから(おおむね)離れて十七日目。いま思うと、これを始めてから数日ほど漂っていた奇妙な感覚は、情報に対する離脱症状だったのかも知れない。情報を取り除いたことで生じた意識の隙間を満たすように、聞いてる音楽や自分の考えが流れ込む、知覚の密度が増えているような感覚だった。……この感覚は話が逆で、昔の人にとってはこれが当り前だったと思うのだけれど。無くてもいいような隙間や余剰だから、刺激的な情報がそこを取って代わることは容易だったんだろうね。でも、無駄に思える精神のリソースの空きは、なにかを考えたり創り出していく上で大切なものだと思う。そしてこのリソースの空きはたぶん、情緒にも深さをもたらすものだよ。

Vanness Pen Shop, Little Rock, ARよりインクが届いた。注文から三週間ってとこ。Diamine Grey Stipula Calamo Dark Grey Papier Plume New Orleans Collection Bayou Nightfall の三本。Diamine Greyはとても使いやすそうな濃さをした、ニュートラルなグレーのインクだった。なるほどねえ、グレー系を探す中でこの名をちらほら見たのは、こうしたバランスのよさがあるからか。Stipula Calamo Dark Greyは暖色系の灰色で、インクをティッシュに含ませると紫と黄色の二色が出てくるためか、書いたものの色味も複数あるような。Papier Plume New Orleans Collection Bayou Nightfallは青緑系の灰色。この三本と手持ちのJ. Herbin Gris Nuageを合わせたグレー系インクを、ノートつける夜の雰囲気ごとに使い分けたい、なんて思っていたのだった。

2020年3月24日(火)

今日届いていたお葉書をこれから読む。オンラインにて苗をいくつかお取り寄せ。着いたら鉢を見繕おう。町のあちらこちらに気の早い桜が咲いているのを見掛けた。

2020年3月23日(月)

ムーミン・コミックスにて、小さな生きものがムーミントロールの周りをうろちょろしているのに気が付いて、全巻のコマを読み返して登場シーンを確認していた。暇そう。彼の名前はソフス。新聞に掲載された全ての話がコミックスに収録されているわけではないから取りこぼしがあると思うのだけれど、ソフスが話す場面はほんのときどきに限られ、特にその名前が挙がる場面はコミックスの中では三回。14巻『ひとりぼっちのムーミン』に、結婚するいとこからムーミンの相棒を引き継ぎ、気落ちしているムーミンを励ましている場面がある。このソフスという生きものがけっこう可愛いのだよね。コマの中にいるか探す楽しみみたいなのもあるし。小説のムーミンの挿絵にもこの黒いねずみの姿をちらほら見掛けた気がする。これまで名前のないキャラクターかと思っていたから、彼らのうちの一人であっても名前があり識別可能だなんて、なんだか思いもかけないことだった。ちらっと検索したらムーミン公式サイトのキャラクター紹介にいた。ムーミン・コミックスは小説と絡みついた別のTLを持っているのかなーと思う。僕はこれまで小説のほうをバイブル扱いしてきたけれど、コミックスの世界も豊饒というか一つの世界になっていて、ここへ手を伸ばして良かった。残るはトーベ・ヤンソン・コレクション。次のクリスマスにかなあ。

今年の園芸なんにする? というのを祖父の死去などがあり決めていなかったため、手元の図鑑や育成本をめくって目ぼしいのを探し始めた。車葉草(ウッドラフ)は面白いかも。この植物には桜餅の香り成分クマリンが含まれていて、冷凍/乾燥によって細胞壁を破壊することでその香りが漂うそう。小さな花も綺麗。

桜が咲くのと前後してアミガサタケ探しやろうね。シーズン中にさまよってるのにまだ見つからないけれど、銀杏や桜の周りの、落ち葉や背の低い雑草などの中から生えるそう。このきのこはとても美味しいらしい、ということが大事。

2020年3月22日(日)

どこかでうぐいすが鳴いていた。昨日に引き続きムーミン・コミックスを読んでる。これは陽だまりみたいな気分が宿るなあ。付箋貼ったコマのスクリーンショットをいつか撮ろう、ひとりで楽しむ用。日が傾いたころ耳元でぷわんと聞こえたのは蚊だろうか。蚊取線香(金鳥の除虫菊の)の匂いは個人的に、潮や朽ち木とともに、特別好きな匂い上位三位か五位に入る。四月まで待つかと思うけれど、蚊取線香を焚く頃合いを覗うのは毎年の楽しみなんだよねえ。ごみを出す夜の道すがら、りんりんという風鈴の音がひとさまの家から聞こえてきた。もうじき新茶の季節が来る。緑茶や烏龍茶は旬の流通がほとんどで、今年も確保したい茶葉が幾つか。

2020年3月21日(土)

人々の出掛けたい気持ちを刺激しないためなのか、NHKR1からは桜の話題が少ない印象。宇都宮は開花したそうだから、もう幾日かしたらこの辺りの桜も咲くんだろうか。未明にラジアンFを聴きながら、ムーミン・コミックスの変なコマに付箋を貼っていた。ツボに入ってひとりで笑ったり、我に返ってへこんだり、手の掛からないやつだよ……。いま該当の箇所をぱらぱらめくっていたらまた笑みが浮かんできた。そのへん、上手く言葉にできないクセになりそうな味わいがあるんだもの。日中は部屋の窓を開け放して柔らかくなった風を通してた。心地よいね。情報源はラジオだけ、といういまの僕にも、世相の暗さは下腹部へ響くように伝わってくる。祖父の不在にはさみしさが揺り戻しているし。

2020年3月20日(金)

枕元に据え付けていた二階建ての本棚を外した。そこに本をどれほど運び込んでも、自分が寝床の中で読む文章の量はさして変わらない、ということに思い当たったんだもの。でも、この一年半くらい、沢山の積ん読に囲まれて眠るのは幸せな気分だったよ。すっきりした宮棚のスペースにはお気に入りと「いま読むべし」の本が残った。もっか『ポラーノの広場』を読んでる。枕元ではない普通の本棚にも手入れ。こちらからは『ランドスケープ──世界のトップフォトグラファー』をめくっているところ。棚の上のほうに突っ込んだまま忘れていた理科年表(平成22年/2010年の)をぱらぱらとめくるうち、一年の暦と天文情報はこれを参照すればいいんだ、というたいへん基礎めなことに気が付いた。そんなんでなぜ置いてたの。風邪の症状はなくなったけれど、軽い中耳炎らしくて左耳の奥から水分が滲む。そういえば今日は春分なんだね。窓を開けばいい風が入ってくるし、陽は遅くまで差すようになったし、早くこの大好きな気候の中に出ていけたら。カメラを入れるかばんも手に入れたことだしさ。

2020年3月19日(木)

熱は朝から引き続けていまは平熱まで戻った。気管支の重苦しさもかなり良くなってきたし、ひとまず安心てとこだよ。これが長引くようならと考えてた。祖父が去ったタイミングではうっすらと死の気配も漂う。「情報から離れたら心に変化は起きるだろうか」ということをこの機に試し始めて十一日目、四月までやれば少しは本が片付くだろうし、それらしい結論も出るかもね、と思う。Twitterを覗きたいけれども。

2020年3月18日(水)

風邪の症状が強まってきたため、あれこれと対策したりされたり。熱や気管支の重さ、鼻づまり、ぼーっとして怠い感じがある。早めにベッドへ入るほうがよさそう。

2019年9月24日(火)に2WAYのトート/ショルダーバッグが欲しいと書いていたことを覚えてる。おととい、ネット断ちの自分ルールを少し曲げてこれを見つけて、きょう届いた。カラーキャンバス 2WAYトート(Lサイズ) AddNinthというブランドらしい。さすがに帆布は頑丈そうな作りしてる。アイボリー/ミントの明るそうな雰囲気が好き。これにカメラやレンズ類を入れてあちこちうろつきたいのだけれど、いま引いてる風邪は長引くかもと懸念してる。

2020年3月17日(火)

オンラインほかメディアの情報をだいたい閉ざして九日目。『いやな気分よさようなら』を読み終えた。今後は覚えたことを実践しつつ、必要に応じてこの本の各章を読み返すことになると思う。手に取ってよかった。この本は、辛さや怒りといった気持ちを感じる心の不合理を切り分け、自分で考えて納得していくことで、生きる苦しさを克服する手順を解説した、認知療法の本の有名どころ。なんかしんどいが精神科や心療内科やそのおくすりに抵抗がある、というひとには、二週間分の処方箋代だと思ってこの本を本棚に突っ込んで欲しい気持ち。読みたいとき手に取れる状況だけでもよいものだし。コンパクト版は単行本よりも価格がこなれていて、僕はこちらを読んだ。デビッド・D・バーンズ『いやな気分よさようなら コンパクト版 自分で学ぶ「抑うつ」克服法』(野村総一郎ほか訳、星和書店) 僕にはとても効く本だったけれど、人や状況によって、この本が必要かどうかは当り前のように違うはず。これを読んでいた僕の状況も、ネット断ちや祖父の死が重なり、ほかに考えることがなかったような感じなので。心に踏み込んで行くこうした書籍を選ぶ際は、受け止める側が弱っている場合にはなおのこと、評価がある程度定まっているものの方が健全だろね。誰かに本を勧めるなら、実用面ではムーミンシリーズよりもこっちが推しかも。

昨日かおとといの気象情報のメールに雷注意報が載っていた。そうかー、春だしね。雷鳴を聞くのが楽しみ。