2023年2月14日(火)

久しぶりに祖父宅へ立ちよってののひろ(野蒜)を掘ったり、ほか通院など。エンデの『モモ』(岩波少年文庫)を読みはじめた。この本はそれなりに長いこと本棚にいたと思うけれど、読まれるべき時がきて自然と手が伸びる、そうした機会がいまなんだと思う。積ん読には間合いと頃合いがあるし、そろそろ時間も大切になってくるはずだしね。ひともものも生きものも、いっときここにいてやがては去っていく。このさみしさと左胸の鼓動こそがいまここにいることの手触りだよ。Spotifyでおすすめされた椎名林檎の『孤独のあかつき』がよかった。

2023年2月12日(日)

暖かな日。冬のあいだはネガティヴな感情(やわらか表現)が重油みたいに湧き出し続けて、心の底から苦しかった。例年のようにそうだし、またしばらくは寒い日が戻ってくるけれど。冬後半のいまの時期だと、最高気温が十度以上ある日はいくぶん気楽に過ごせるかなー、という目安。自然界が春めいて動き出すことは、自分にとっては現実にある苦痛から楽になるときの切実なしるし。季節と生き方は分かちがたく、季節とは変化だから、春を味わうためには夏や秋や冬をかみ締める必要があるのだね……。もう眠ろう。

2023年2月7日(火)

久しぶりにNPOさんのところで雑談。筋トレやストレッチの話が主。こういう書き方で適切か分からないけれど、皆さんなにかしら取り組まれているのだなー。用事を済ませた帰りに園芸店へ立ちより、クリスマスローズの鉢植えなど眺めた。『ダウン・バイ・ロー』観た。なにがしかの罪で刑務所に入れられた男三人が脱獄し、森をさまよい、別れる。それだけと言えばそれだけ。森で二人が喧嘩別れになるのだけれど、もう一人がつくるうさぎの丸焼きにつられて二人とも戻ってくる、その空腹に逆らえないしようのないシーンに、こちらもやさしくしおれてしまう気持ちになった。終わりかたがするっとかさっとしていて、それでぬくもりがないわけでもなく、あっさりめな独特さ。

2023年2月6日(月)

溜まっていた洗い物に手をつけたり、細々としたことなど。岡田尊司『愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる』(光文社新書)を読み終えた。必要な情報が盛り込んであったからまたぱらぱら目を通すと思う。別の新書に載っていた診断をやってみたら、自分は愛着スタイルのどれにも該当しないものの、どれともオーバーラップするくらいのスコアが出たのだった。きょうは冬のあいだ張り詰めていたものがくたっと弛緩するような穏やかな気候だった。こんな日が増えてくることがうれしい。

2023年2月5日(日)

庭へ出てうろうろしていると、常緑クレマチスの花や葉の周りを小さな虻がやっぱりうろうろしていた。もう日差しには力があり、じっとしていればそれなりに暖まる気候。生き物のほうは啓蟄なんてべつに待ったりしないのだなー。そろそろ人に会ってはとか、堆肥を買い込んで庭に手を入れてはとか、そんな思いがし始めた気がするけれど、どうだろ。

2023年2月4日(土)

きのうからの話だけれど、イザベラ・バード『日本奥地紀行』(高梨健吉訳、平凡社)を待ち時間の合間用に読みはじめた。物語的な起伏よりは描写が主な本のため、短時間で切り上げやすい内容なのがよいところ。夕暮れは月が出て穏やかで、暖かい季節特有の赤みを帯びた空をしていた。