イナカの灯台

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2017年12月

2017年12月2日(土)

シャコバサボテンが花期であることを思い出したら手元で育てたくなり、植木屋で「マリー」「トーアリッテ」を一鉢ずつ見繕った。個人的に温室のちょっと朽ちたような層の厚いにおいは、磯の香りと並び最も好きな匂いに入る。ひとけのまばらな午後の陽差しのなか、がらがら言う園内スピーカーからクリスマスソングが流れていて、それが緑の不足を補うかたちで大気全体に潤いを与えていた。

2017年12月5日(火)

叔父に誘われ日光方面へ向かったのち、湧水の郷しおや経由で県民の森へ。

マロニエ昆虫館では北杜夫さんの「どくとるマンボウ昆虫記」にちなんだ標本展示が開かれており、他に人の気配もないからと僕ひとりで蝶を念入りに見て回った挙げ句、すっかり時間を忘れていたらしい。待っていた叔父から時間にだらしないと注意をもらった。ミドリシジミのきらきらした緑は綺麗だったなあ。

同展示では樹齢四百年のカツラの根株だとか、樹齢八百年の屋久杉の年輪に史実を示したものだとかがあった。鎌倉時代なら玉藻稲荷の出来たころというのが僕の身近な印象なので、その年輪と神社を同じ奥行きに並べ、流れた時間の厚みや奥行きを感じようと……努力はしたよ。

りんご直売所のお年寄りと、そのカメラに付けてるレンズでかいねという会話をした。ごつい道具で周囲に威圧感を与えたくないなあとかねてより考えていたから、いずれはシグマの18-35mmF1.8を下取りに出して、ペンタックスの20-40mmF2.8-4を使おうと思う。

2017年12月6日(水) 一年が経つのはあっという間だよ

茶臼岳のドーム状の山容が白く雪化粧をしていた。

朝方には氷点下の気温も珍しくは無くなって、原付のエンジンが掛かりづらい季節に突入してる。書き忘れていたけれど、おとといの朝、既に一度エンストした。しばらく温めればきちんと動くのだし、冬場のエンジンの具合は僕にはどうにもならないな。

少し前にここで書いた本棚相手に座り込むあれは地味に続けていて、本に触れる時間が増えたため、もう一度読み直したいものもちらほら目についてる。再読に耐える本は宝ものだよって誰の言葉だっけか。

付け足して書くと、筑摩書房のちくまだとか角川書店の本の旅人だとか、そういう出版社のPR誌に「様々な本の数ページを抜き出して束ねたような読み物」という印象が生まれてきていて、お得感が綿のようにあふれるのを感じる。梨木香歩さんの「風と双眼鏡、膝掛け毛布」は見ている風景が文章に浮き上がるようだったし、最果タヒさんの「最果からお届けします。」は思考と感覚の流れる経路を掴むかのようでこちらも目を離さずにいる。岸本佐知子さんのページにはクラフト・エヴィング商會の挿絵が九月からこっち並んでいて、当初拾うつもりだった商會情報とは別に、岸本さん自身の書かれるものも拾うようになってきてる。

PR誌の入手については直接購読のほか、Webから見本誌を取り寄せることが出来たり、大型書店によっては持ち帰り自由で閲覧出来たりもするみたいだ。こちらのタダの本・100円の本-Tojosの晴耕雨読のページが出版社毎の特徴など書かれていて、どちらへ着地するか決める際の参考になったため、リンクを張っておく。TSUTAYAでは店員さんに本の旅人は置いていますかと訊ねても通じなくて、「出版社が独自に刊行しているフリーペーパー」でそれならと案内された先には、束ねられていない一枚ずつの読み物が一角を占めていたりした。ちくまと本の旅人はどちらも1年間購読なら1000円。好みな出版社を選んで浸かってみる経験はわりと痺れたから、こういった雑誌の情報くらいは読書好きに伝わると良いなあ。

それで今週から年賀状なんかのフォーマットを決めて書いて、悠々と投函出来るようにしたい。ラジオは山下達郎のクリスマス・イヴを遠慮などせずに流してる。

2017年12月7日(木)

さんむい。

コインランドリーで毛布をまとめて洗うあいだ、屋外の気温が良く伝わる待合室の中の椅子に座って、暇つぶしのために持ってきたちくまを読んでいた。ブレイディみかこなる方の「ワイルドサイドをほっつき歩け」は程ほどにひどい話でありつつ、吹き出したために身体が温まって助かった(ひどい)。そして今月は梨木香歩さんのスペースが「暗渠」「風と双眼鏡」で二つあるんだね。

2017年12月8日(金)

これからみぞれが降るかも。

ラジオのJETSTREAMでエンディングに流れる曲は溝口肇さんの「天国のKiss Main Theme」と判明した。

2017年12月10日(日)

ずいぶん昔に大洗の海岸で拾った集魚灯をくりぬいて、今日はそれで天気管を作っていた。これを書きながら溶液のの晶出濃度を調節していて、濃度が安定するまでに二日か三日ほどはかかるだろうなあ。

2017年12月11日(月)

髪を切った。

昨日作っていた天気管の電球が首から折れるかたちで割れ、ほとんどは溢れずに済んだけれど使いものにならなくなってしまった。飛び散ったり怪我をしたりせずに済んだのは超硬質硝子のおかげかなあ。もっか代わりとなるガラス容器を探してる。

功刀丈弘というフィドル(ヴァイオリン)奏者さんの曲は呼びかけるような哀愁と広がりがあり、「Beyond the Sunset」「The Man The Fiddler」を続けざまに聴いてる。

2017年12月12日(火)

昨日今日と北日本や北陸で暴風雪だとか。

2017年12月13日(水)

照明を落としたら家の中にいながら流星群が見える。

2017年12月15日(金)

昨晩はふたご座流星群を撮ってみようと思い立ち、カメラと三脚にあり合わせの道具を持って、田んぼが広がる真っ暗な農道へと出掛けていった。

かねてより流星が流れている空を比較明合成してみたかったから、今まで持ち腐れにしていたK-50のインターバル撮影機能を初めて活用することにした。パターンや向きを変えながら、露出5~15秒の星景を3秒間隔で100枚前後、まずは必要な操作を確認しながら撮る準備を進めていく。

ここで言ってしまうと星撮りというのはどうやら、待ちに入ってしまうまでは、ものすごく忙しい。抜かりなく機材の準備をしつつ当日の天気をチェックして、GPVなどで現地の状況を確認したら出発/待機の判断があり、いざ到着したら暗がりで静かに、しかし確実にカメラを組み立てて設定していく。星撮りは天気に加えて時間との勝負のように感じるし、趣向を凝らした人間の目論見が自然相手にどこまで上手く通用するだろうかという、ピタゴラスイッチ式ギャンブルのにおいも薄ら漂う。

話を戻すと、暗い空の構図を決めるのに随分ちんたらとしながら、ライブビューでの星の合焦には一層もたついて、最終的にはなんとかカメラが空を撮れる状態へと持っていくことが出来た。で、カメラに連射してもらう。ろくに車の通らない農道だから、ひたすらシャッター音が続く他は静かではあるし、前日に引き続いてその夜も雲一つない晴天で、天を仰げば星はしょっちゅう流れる。寒さに足踏みしながらラジオ深夜便を小さく流し、夢中で空を見ていた。

そして、寒かったな。晴れていたから空気は放射冷却でぐいぐいと冷えた。レンズに夜露が降りたらまずいから、使い捨てカイロは幾つか持参していたけれど、準備に時間を食ったせいでカメラ全体がとっくに外気に慣れ、ビギナーズラックで結露を回避してしまった。使い捨てカイロそのものはレンズに巻いても一向に発熱しない。こういった製品は性質上、それなりに狭く暖かい空間でないと中身が化学反応を継続してくれないみたいだ。

日付が変わる頃はたと照明を付けると、原付から三脚から動かずにいたものが皆、まっ白な霜で覆われていた。畳みかけるように道具を片付けて、いそいそと引き上げ。

そうして今になり昨日の日記を書いてる。撮った写真群のうちカシオペヤ座を向いていたものに、旅客機の軌跡と流星二個の映り込んでいるフレームがあり、今回はこれが一番の賑やかな収穫になりそうだ。試みにSiriusCompという比較明合成のフリーソフトで121枚を何も考えず合成してみると、日周運動と移動体それぞれの軌跡が一つの画像に収まった。感動はありつつ、星の動きが微妙にぶれている……たぶんミラーショックが原因のぶれだ。三脚を立てる際に抜かりがあったらしい。ステライメージなどの高性能なソフトウェアなら自動で補正する機能はあるだろうし、レタッチソフトを使って手作業で修正していくことも出来そうだ。ここから先はコンポジット合成等の画像処理の領域。うーん、面白さと改善点の両方を回収したなあ。

以下、星の比較明合成をまた行うとき気をつけたいこと。

  • 三脚はしっかりと伸ばして、ぐらつかないよう確実に立てる
  • レンズ用の結露防止ヒーターはいずれ用意した方がよかろう
  • 防寒対策、特に指先の動きは確保するべし
  • 諸操作の精度を高める&1ショットに時間を掛けることで星空写真の魔法が使えるようになるはず

2017年12月17日(日)

那須の山々が防波堤のように雪煙を巻いてる。干し柿おいしい。Lisnの香木の香りはわりと好みなのだけれど、どうやら沈香/白檀ではない(仏閣に漂う香りだがお線香の方ではない)ので、あれは伽羅なのかなあ。

こっそりと書いておくと、18きっぷでのんびりしてもいいなあと思い始めてる。今のところは思うばかり。

2017年12月18日(月)

椎名誠とミハイル・プリーシヴィンの本を数冊ずつ古本で仕入れた。好きな作家だよ。

2017年12月19日(火)

18きっぷでどこか行けないか思案してる。白川郷に素泊まりの宿を見つける。へー。

2017年12月20日(水)

たばこから遠ざかってちょうど三ヶ月が経過。今回利用はしていないけれど、禁煙治療のプログラムが確か三ヶ月だったと記憶しているので、やめるの成功したよ。手元に処分しそこねたハバノス数本とピーターソンのホリデーシーズン2016、それからサミュエルガーウィズのフルバージニアフレークがあり、好きな人が居ればと思う。

2017年12月24日(日)

鶏肉を焼いてケーキなど食べる。ううむ、明後日からの六日間は時が軋むように加速するはず。季節感は年々薄れていくのになあ。

2017年12月25日(月)

いまになって年賀状の清書をしてる。須賀敦子全集第1巻/天文台日記/ヴェネツィア暮らし/田舎医者/ちくま1月号などがほぼ中古書で届く。前半の三冊はクラフト・エヴィング商會「おかしな本棚」から背中を拾ったもの。既においしい本を読んだつもりでいる。

2017年12月27日(水)

市街を暮れの気配が流れていく。気象情報では年末寒波を一定の速度で伝えており、朝から今まで細かく締まった雪が降るそばから溶け続けている。このぶんだと明朝には路上が凍結しているだろうな。

2017年12月30日(土)

朝から張り切って家の掃除、それから正月のための買い物。疲れて眠たい。

2017年12月31日(日)

券売機をハシゴして来月十日が期限の18きっぷを手に入れたものの、行き先はまだ全くの白紙だ。繁忙期の白川郷では宿の確保がとうてい無理そうなため(夕刻観光課ぽいとこに電話したら富山や金沢ならとの返事)、それなら日本海側の雪を見るという趣旨はそのままに北上し、東北一周などはどうかとふわふわ思い始めている。

たばこを摂らなくなった年であったな。来年の目標はそれなりに用意してあって、ニコチン抜きでも趣味を楽しめる余裕や環境を作ることや、手帳を活用して手で書いたものを残すこと、そして健康。今日か昨日のNHKラジオ第1だったと思うが、「人はみな他所から見えへんもの背負って生きとる」という言葉を覚えている。前を向いて行けたらいいね。

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