2010年10月18日(月)

しばらく散歩を休んでしまったので方角を変えて出掛けてみた。割と近所の羽田(はんだ)沼へ向かう。

公民館の広場で老人連中がゲートボールと座談会らしきものを広げていた。道すがら缶コーヒーを買って店のあるじのおはさんに挨拶。アメジストセージの見事な花壇があった。

坂を登ると「この先750mに羽田沼」とある。道の脇のウド畑から、甘くて青臭いニオイが漂ってきた。昔、子供の頃は、このウドの実に細長い松などの葉っぱを引っかけはじき飛ばして遊んだものだった、と思い出す。畑の中からは雀の騒々しい鳴き声が聞こえてきた。大群が藪の中に潜んでいるらしい。と思うまもなく、遠方から害鳥退除のための「どーん」という発砲音が鳴り渡った。

大したことが起こるでもなく羽田沼へ到着。小さいながらも休憩所、トイレ、駐車場が整備されている。ベンチの一角に腰かけて、買ってきた缶コーヒーをちびちび飲む。ベンチから柵を一つ向こうにマガモがわらわらいて、おっさんが一人、カモだか鯉だかに餌をやっていた。マガモの群れ 羽田沼

この羽田沼は栃木県内で唯一のハクチョウの飛来地だ。昔、と言っても二十年近く前には、市の反対側の琵琶池(びわいけ)にもハクチョウが飛来していた。僕が羽田小学校に来た頃にはもう琵琶池になんかハクチョウは全くと言っていいほど来なくなって、代わりに毎冬の羽田沼のハクチョウの数を競うようになっていた記憶がある。僕が小学六年の冬には最大およそ300羽だった。白鳥(はくちょう)情報-栃木県大田原市にある白鳥の沼(羽田沼)の紹介 : プランニングオフィスワンによると近年では毎冬千数百羽が飛来するらしい。すぐそばの農家の方々や小学校の生徒が連携を取って餌付けを行ってきた成果だろう。が、目の前の看板には「水鳥にエサを与えないで下さい~」とある。読めば、水質の悪化によって池とその下流の生物相の減少が目立っているという。この羽田沼の下手にはミヤコタナゴが住んでいる用水路がある。ミヤコタナゴはこの辺りでは別名オシャレブナ、オシャラクブナとも呼び、栃木県では確か市内の数カ所にのみひっそりと生息していて、国の天然記念物にも指定されている。この羽田沼のミヤコタナゴは一時消滅の憂き目を見そうになったが、小学校内での飼育と近隣農家の理解などによって今も生きながらえている、らしい。僕は実際に用水路で捕まえたことは無く、学校の事務室の水槽で泳いでいるのを見た事があるだけだ。

話がタナゴに逸れてしまったが、十年前に比べてハクチョウの飛来数は数倍に増えたわけで、水質の悪化は当選の帰結だろう。ブルーギルやブラックバスの無責任な放流が一時期騒がれていたが(今もか)、この沼にもその手が伸びていて、それらの餌食としてミヤコタナゴが池から姿を消してしまった。上で下手の用水路に、と書いたのはその為だ。水が多少汚くとも、相が貧弱であれ、ブルーギルやブラックバスなどは強く繁殖出来る。ハクチョウがいない季節にはそれらを駆除するために網を張って対処したりもしていた。今現在は過去のそれほど過敏に周囲が反応することはなくなったらしい。池の水質改善とハクチョウ飛来数の維持がこれからの課題のようだ。

当然ながら今はまだハクチョウは一羽もいなかった。底冷えのする秋の終わりごろにぽつぽつとやってくるはずで、その時期になると駐車場脇にここ数年から、一件の出店が立つようになった。寒い中で喜ばれるのだろう、たい焼きとたこ焼きが売れる。ゴミ捨てかごを設置していないのでごみは持ち帰りになるわけだが、それでものんびりするぶんにはありがたい。そういえば、市の中央を流れる蛇尾川・蛇尾橋の脇にもだいぶ古くからこぢんまりしたたい焼き屋がある。秋冬のみ営業しているのだが、先日通りかかったときにはもう開店していた。このたい焼き屋では小倉あんとクリームがそれぞれ110円で売っている。以前寄りかかったときには写真撮影お断りですと言われ、ちょっとがっかりしながら小倉あんを近くの高台で食べた記憶がある。このたい焼き屋はこの市の冬の風物詩でもあり、ネット上のコミュニティでも時々話題に上る。必ず待ち人が行列を作って並んでいるので、場所は通りかかればすぐ分かる。

また話が逸れたが、とりあえず池の脇のベンチで一休みし、間近でマガモを眺めてみた。餌が貰えないと分かると向こうは興味を失ったのか、ガアガア言いながら離れて行ってしまった。そこへ近くにいたおっさんが穀類をばらまく。この場合、「エサを与えないで」にどう当てはめればいいのか分からないが、とにかく集まってくるカモの数はすごい。一瞬で50羽ほどが集まり貪っていた。

ポケットに空き缶を入れ再び出発。やはりというか慣れると歩きやすい。途中で何かの木の実がぎっしりと生っているところを見つけた。木の実この木の実も餌を求めるマガモによって、枝の下の方に実が少ししか付いていなかった。

家に帰ってきてから、テーブルの上のコルチカムに花が咲いているのを写真に撮った。コルチカムは日の当たり具合で花の色が決まるらしく、庭の外のそれは薄紫をしていたのに部屋の中のは真っ白だった。あとから植え替えてやったが、もう花の時期を過ぎているようでしおれていた。コルチカム

最近睡眠の浅い日が続いているが今日はよく眠れそうだ。今、ココアにベイリーズを垂らしたものを少し飲んでいる。そんなカクテルあるのか知らないが、美味しい。

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